ビジネス

今後のドル/円為替相場は76円~86円のボックス圏で推移か

 東日本大震災直後、1米ドル=76円25銭まで急騰した外国為替相場は今後どのような動きをみせるのか。トップディーラーとして活躍後、松田トラスト&インベストメント代表を務める松田哲氏が分析する。

 * * *
 福島原発事故という不安要素は残るものの、ドル/円は76円~86円のレンジ内で推移していくと思われる。86円のレジスタンスレベルを越えていかない限り、ドル安円高トレンドは続いていると見てよい。ユーロ/円、英ポンド/円などクロス円(米ドル以外の通貨と円の通貨ペア)でも円高トレンドが持続するだろう。
 
 3月11日の地震発生後、戦後最高値の76円台まで円高が一気に加速した背景には、期末(3月末)要因である通常のレパトリ(日本の企業が期末に、海外での利益を本国に送金すること)や日本企業による海外資産の売却に加え、大量の投機的な資金が流入したことなどが挙げられる。ただし、実際には、79円を割り込んだ78円、77円付近に大量の損切りオプションが入っていたため、雪崩現象が発生してしまったのではないか。
 
 一方、世界の市場を見渡すと、不安定な中東・北アフリカ情勢も背景にリスク回避のための複雑な連鎖が起きている。東日本大震災、福島原発事故だけでなく、欧米のリビアへの軍事介入も相場を動かす大きな材料になっているのだ。多国籍軍によるリビア空爆は事実上の戦争であり、緊迫化するリビア情勢に、ほぼ全てのマーケットでフライ・トゥ・クオリティ(質への逃避)が加速しているといってよいだろう。
 
 通常のリスク回避の場合、たとえば株式なら債券に投資マネーがシフトする。ただ、今は原油価格などの上昇から各国でインフレ懸念が出てきているため、債券には向かえない。また、金利が上昇しても債券は下落するため、ユーロなど利上げが予想される国々の債券もやはり買えないだろう。金融緩和を続行するアメリカには利上げの見通しはないが、インフレ懸念があり、米国債にも単純には向かわない状態だ。
 
 世界中の投資家がリスクの回避先を求めており、商品市場や株式市場と比較して動きが静かだった外国為替市場でも2月下旬ごろから、避難通貨としての円買い、スイスフラン買いが起きていた。 

※マネーポスト2011年5月号

関連キーワード

トピックス

ロサンゼルスから帰国したKing&Princeの永瀬廉
《寒いのに素足にサンダルで…》キンプリ・永瀬廉、“全身ブラック”姿で羽田空港に降り立ち周囲騒然【紅白出場へ】
NEWSポストセブン
自宅前には花が手向けられていた(本人のインスタグラムより)
「『子どもは旦那さんに任せましょう』と警察から言われたと…」車椅子インフルエンサー・鈴木沙月容疑者の知人が明かした「犯行前日のSOS」とは《親権めぐり0歳児刺殺》
NEWSポストセブン
10月31日、イベントに参加していた小栗旬
深夜の港区に“とんでもないヒゲの山田孝之”が…イベント打ち上げで小栗旬、三浦翔平らに囲まれた意外な「最年少女性」の存在《「赤西軍団」の一部が集結》
NEWSポストセブン
スシローで起きたある配信者の迷惑行為が問題視されている(HP/読者提供)
《全身タトゥー男がガリ直食い》迷惑配信でスシローに警察が出動 運営元は「警察にご相談したことも事実です」
NEWSポストセブン
「武蔵陵墓地」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月10日、JMPA)
《初の外国公式訪問を報告》愛子さまの参拝スタイルは美智子さまから“受け継がれた”エレガントなケープデザイン スタンドカラーでシャープな印象に
NEWSポストセブン
モデルで女優のKoki,
《9頭身のラインがクッキリ》Koki,が撮影打ち上げの夜にタイトジーンズで“名残惜しげなハグ”…2027年公開の映画ではラウールと共演
NEWSポストセブン
2025年九州場所
《デヴィ夫人はマス席だったが…》九州場所の向正面に「溜席の着物美人」が姿を見せる 四股名入りの「ジェラートピケ浴衣地ワンピース女性」も登場 チケット不足のなか15日間の観戦をどう続けるかが注目
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)の高場悟さんに対する”執着”が事件につながった(左:共同通信)
「『あまり外に出られない。ごめんね』と…」”普通の主婦”だった安福久美子容疑者の「26年間の隠伏での変化」、知人は「普段どおりの生活が“透明人間”になる手段だったのか…」《名古屋主婦殺人》
NEWSポストセブン
「第44回全国豊かな海づくり大会」に出席された(2025年11月9日、撮影/JMPA)
《海づくり大会ご出席》皇后雅子さま、毎年恒例の“海”コーデ 今年はエメラルドブルーのセットアップをお召しに 白が爽やかさを演出し、装飾のブレードでメリハリをつける
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《中村橋之助が婚約発表》三田寛子が元乃木坂46・能條愛未に伝えた「安心しなさい」の意味…夫・芝翫の不倫報道でも揺るがなかった“家族としての思い”
NEWSポストセブン
悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、筑波大学の学園祭を満喫 ご学友と会場を回り、写真撮影の依頼にも快く応対 深い時間までファミレスでおしゃべりに興じ、自転車で颯爽と帰宅 
女性セブン
愛子さま(撮影/JMPA)
愛子さま、母校の学園祭に“秋の休日スタイル”で参加 出店でカリカリチーズ棒を購入、ラップバトルもご観覧 リラックスされたご様子でリフレッシュタイムを満喫 
女性セブン