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八百長力士にも実力は必要 「弱いから八百長するのでない」

 5月8日に始まる大相撲の技量審査場所は、大相撲史に残る「面白い」場所になるかもしれない。露骨な八百長はできないため、ほとんどの力士がガチンコ勝負で臨むだろう。果たしてどんな場所になるか。シミュレートしてみよう。

 * * *
 ガチンコ場所だからといって、ガチンコ力士が強いかというと、そうでもないから相撲は奥深い。そもそも八百長力士は「弱いから八百長する」のではない。古参力士は語る。

「足が滑ったり、立ち合いに遅れただけで負けにつながるのが相撲。まして15日間集中力を維持するのは至難の業だし、優勝争いをする力士が避けたいのは下位に対する取りこぼしなんです。そこで“安心”を買うために八百長を持ちかける。強い相手から話が来れば、八百長力士は“どうせ負けるなら売っておくか”と考える」

 かつて、本誌に八百長を告白した元小結の板井圭介氏も、こう語っていた。

「ガチンコで幕内の実力がなければ十両に落ちる。ガチンコで十両の力がなければ幕下に落ちる、というのが土俵の鉄則です。カネさえあれば誰でも横綱になれるというものではなく、ある程度の実力は必ず必要」

 八百長が噂された力士は幕内にもまだ数人いるが、彼らはガチンコでも強いと判断すべきなのだ。

 では結局、誰が一番強いのか。実力がずば抜けているのは、やはり横綱・白鵬。

「ただ、実力が拮抗している上位陣がガチンコでやれば取りこぼしもでてくる。上位陣が星の潰し合いをしている間に、下位力士が突っ走る可能性がある。下位の力士の中に八百長で番付を維持している力士がいたとすれば、ガチンコになることで大負けする。逆に星の回し合いでわざと転んで(負けて)いた力士がガチンコで大勝するなど、下位では成績が二極化する」(前出の角界関係者)

 2000年大阪場所では横綱の曙や武蔵丸がモタモタしている間隙を縫い、貴闘力が史上初の幕尻優勝を果たしたこともある。史上例を見ない「技量審査場所」でこうした珍事が再現される可能性もある。

※週刊ポスト2011年4月29日号

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