ライフ

甲状腺ホルモンの病気 絢香も発症した「バセドウ病」とは

 歌手の絢香(23)が発症したと告白したバセドウ病。女性に多い病気だというが、どんな病気なのだろうか。

 のどぼとけの下あたりにある甲状腺はミネラルの一種、ヨードを使って甲状腺ホルモンを作っているが、このホルモンが過剰に分泌されるのがバセドウ病だ。上本町わたなべクリニック院長の渡邊章範さんは、こう説明する。

「甲状腺ホルモンは新陳代謝に関係し、熱を生み出す役割があります。過剰になるとじっとしていても汗が出たり、37度程度の熱が2週間以上続いたりします」(渡邊さん、以下「」内同)

 20代から発症するといわれているが、症状がある程度進んだ40代で発見されるケースも多くあると渡邊さん。

「甲状腺が腫れあがり、ひどくなると食べ物をのみ込むときに違和感が出てしまいます」

 さらに進行して甲状腺クリーゼになると嘔吐や下痢、最悪の場合は意識障害や生命の危機にかかわることも。

「甲状腺ホルモンを抑制する抗甲状腺剤を数年にわたって服用すれば、進行を食い止めることができます」

 治療すれば食生活を大きく変える必要はないが、ヨードが多く含まれる昆布など海藻類は甲状腺疾患の患者は控えたほうがいいともいわれる。

「確かに過剰摂取すると甲状腺機能に影響を及ぼしますが、それは1日1kg近くをほぼ毎日食べていればの話。みそ汁にはいっているわかめや小鉢のひじき程度なら問題はありません」

 バセドウ病とは対照的に甲状腺ホルモンが不足するのが橋本病。甲状腺機能低下症といい、新陳代謝をつかさどるホルモンが不足するため、気分がうつ状態になったり、食べていないのに体重が増える、35度台の低体温が2週間以上続く、便秘、むくみ、カサカサと粉がふいたような肌の乾燥などの症状が表れてしまう。

「ただの手足の冷えや低体温だと思っていたら、橋本病だったというケースも多々あります」

 9割が女性患者で、更年期の世代に多い病気のため、うつや手足の冷えなどから更年期障害と間違える人も。

「手足が真っ青になる、脈が遅くなる、やる気がなくなるというのも橋本病の特徴。甲状腺が硬く腫れますが、目に見えた初期症状があまり出ないのも特徴。20代、30代で発症していても、症状が重くなった中高年時に見つかりやすい病気でもあります」

 橋本病もバセドウ病と同様、完治は困難のため、慢性疾患としてつきあっていく病気。血液検査などで見つかるので、気になる症状があれば、すぐにかかりつけの内科などに相談を。

※女性セブン2011年5月5日号

関連キーワード

トピックス

グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
一般家庭の洗濯物を勝手に撮影しSNSにアップする事例が散見されている(画像はイメージです)
干してある下着を勝手に撮影するSNSアカウントに批判殺到…弁護士は「プライバシー権侵害となる可能性」と指摘
NEWSポストセブン
亡くなった米ポルノ女優カイリー・ペイジさん(インスタグラムより)
《米ネトフリ出演女優に薬物死報道》部屋にはフェンタニル、麻薬の器具、複数男性との行為写真…相次ぐ悲報に批判高まる〈地球上で最悪の物質〉〈毎日200人超の米国人が命を落とす〉
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
民放ドラマ初主演の俳優・磯村勇斗
《ムッチ先輩から1年》磯村勇斗が32歳の今「民放ドラマ初主演」の理由 “特撮ヒーロー出身のイケメン俳優”から脱却も
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン