国内

関西作家 サリン事件時と同様に原発で被災者の声埋没を危惧

 伝説的な深夜番組『11PM』(日本テレビ系)のキャスターとして活躍し、日本を元気にしてきた関西在住の作家・藤本義一氏は、阪神淡路大震災の経験を踏まえ、あることを危惧しているという。
 
 * * *
 今回の東日本大震災の報道を見ていると、東北人は関西人とよく似ていると思ったね。テレビ画面を通して流れてくる被災者の言葉、振る舞いからは、関西弁で言う「なんとかなるやろ」という雰囲気が伝わってきた。
 
 関西では「なんとかなるやろ」とは、投げやりになるということではなく、“なんとかなるようにしないといけない”ということ。いい意味での開き直りであり、関西ではこれが生きるための基本的なエネルギーとなっている。震災からの復興。関西人ができたことは東北人もできると私は信じている。
 
 確かに阪神・淡路大震災も凄かった。自宅は半壊状態で、部屋の中は家具などが倒れてめちゃくちゃだった。2階の寝室で寝ていたところ、大きな揺れを感じると同時に、戸が開いたまま洋服ダンスが上にかぶさってきた。とっさに左に数センチよけたところ、さっきまで頭を置いていた枕のところに洋服ダンスの金具が突き刺さっていた。わずかな違いで助かった。東日本大震災でも九死に一生を得た人はたくさんいたと思う。

 私たちの時との最大の違いは原発問題だろう。阪神・淡路大震災では3か月後に地下鉄サリン事件が起きて、被災者の声が聞かれなくなってしまったが、それと同じ現象が今回の災害でも起きようとしている。あまりに原発に関心が集まってしまい、被災者全体に目が向かなくなっている。

※SAPIO2011年5月25日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン