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小笠原諸島 戦後に生態系崩れるも外来種駆除進み世界遺産に

小笠原諸島・父島の南西に位置する南島

 東京から南へ1000km、小笠原諸島は第二次大戦の戦地となった硫黄島を含む大小30余りの島々から成る東京都最南端の地。東京・竹芝桟橋から6日に1回出航する定期便『おがさわら丸』に乗り、25時間半で父島に。母島はさらに2時間を要する。

 美しい太平洋に浮かぶ島々は、これまで大陸と陸続きになったことがなかったため独自の進化を遂げ、植物や生物の多くが固有種。そのため“東洋のガラパゴス”とも呼ばれているのだが、その歴史も興味深い。元々は江戸時代初期に日本人に発見された島だが、欧米人による開拓を経て日本領に、第二次大戦後1968年まではアメリカの統治下にあった。
 
 固有の風土と文化の混在が織りなす楽園、それが小笠原諸島なのだ。

「戦後に持ち込まれ猫やヤギなどが固有種の生態系を壊し始めたこともありますが外来種は行政によって駆除が進み、その成果が世界自然遺産登録に繋がりました。また観光客に対してもマナーを徹底。例えば、沈水カルスト地形で知られる観光地の南島への上陸は1日100人まで、2時間制というルールがあります。行政と民間が一体となって自主ルールを作り、島全体の環境保全を徹底しています」(東京都環境局)

 写真は、父島の南西に位置する南島。石灰質の土地が隆起・沈降してできた沈水カルスト地形の美しい島。中央のエメラルドグリーンに輝く池は『扇池』と呼ばれる絶景の観光名所となっている。

撮影■太田真三

※週刊ポスト2011年7月8日号

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