国内

おいしい牛乳買いづらい理由 規制でまずいものと混ぜるから

 農産物に関する様々な規制を見ると、この国の農業は役所や農協によって“おいしい作物”を作らせないようにされているとしか思えない。さらにその規制が農業の真の再生を阻んでいるのである。元行政改革担当大臣の補佐官で政策工房社長の原英史氏が憤る。

 * * *
 日本の農畜産物の「規格主義」は果物、コメ、肉、牛乳など、すべて一緒だ。

 観光用牧場で牛乳を飲むと、店で買う牛乳とは別次元のおいしさに、驚くことがある。搾りたてということもあるが、最大の理由は、農協で出荷する牛乳の場合、おいしいのもまずいのも、全部混ぜているからだ。

 牛乳の味は酪農家の腕ではっきり差が出ると言われる。しかし、牛乳の流通には野菜よりさらに規制があって、酪農家は「一部は農協、残りは独自ルートで出荷」というやり方が認められない。

 農林水産省生産局長通達で「全量委託」が原則とされ、「全量を農協」か「全量を独自ルート」か、どちらか選ばないといけないのだ。「全量を独自ルート」で販売するのは酪農家にとってハードルがとても高い。どうしても「農協」で他の牛乳と混ぜる道を選ばざるをえない。出荷される牛乳は「農協」ごとの単位にしかならない。

 他の牛乳と混ぜられれば、味の良し悪しにかかわらず買い取り価格は一緒。これでは腕のいい酪農家のモチベーションを奪いかねない。

 なぜ、こんな規制があるか。味で競争を始めると酪農家の腕の優劣がはっきりする。組合がまとまらなくなり、安定供給できなくなると困るという「組合の組織維持の論理」が見てとれる。

 この問題は、今年3月の「規制仕分け」で取り上げられ、「全量委託の例外拡大を検討」という結果になった。おいしい牛乳を飲みたい消費者からすると、「例外拡大」という部分修正でなく、腕のいい酪農家は自由に出荷先を選べるようにすればいい。しかし、案の定と言うべきか、その後役所では、「例外拡大」さえ「検討」している気配はない。

※SAPIO 2011年7月20日号

トピックス

10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
三田寛子と能條愛未は同じアイドル出身(右は時事通信)
《梨園に誕生する元アイドルの嫁姑》三田寛子と能條愛未の関係はうまくいくか? 乃木坂46時代の経験も強み、義母に素直に甘えられるかがカギに
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
ヒグマが自動車事故と同等の力で夫の皮膚や体内組織を損傷…60代夫婦が「熊の通り道」で直面した“衝撃の恐怖体験”《2000年代に発生したクマ被害》
NEWSポストセブン
対談を行った歌人の俵万智さんと動物言語学者の鈴木俊貴さん
歌人・俵万智さんと「鳥の言葉がわかる」鈴木俊貴さんが送る令和の子どもたちへメッセージ「体験を言葉で振り返る時間こそが人間のいとなみ」【特別対談】
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン
佳子さまの“ショッキングピンク”のドレスが話題に(時事通信フォト)
《5万円超の“蛍光ピンク服”》佳子さまがお召しになった“推しブランド”…過去にもロイヤルブルーの “イロチ”ドレス、ブラジル訪問では「カメリアワンピース」が話題に
NEWSポストセブン
「横浜アンパンマンこどもミュージアム」でパパ同士のケンカが拡散された(目撃者提供)
《フル動画入手》アンパンマンショー“パパ同士のケンカ”のきっかけは戦慄の頭突き…目撃者が語る 施設側は「今後もスタッフ一丸となって対応」
NEWSポストセブン
大谷翔平を支え続けた真美子さん
《大谷翔平よりもスゴイ?》真美子さんの完璧“MVP妻”伝説「奥様会へのお土産は1万5000円のケーキ」「パレードでスポンサー企業のペットボトル」…“夫婦でCM共演”への期待も
週刊ポスト
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン