ビジネス

日本の国家破綻に備え絶対してはならないことは「預貯金」

 世界の金融市場を揺るがしたアメリカ政府のデフォルト(債務不履行)危機だが、これから本当にデフォルトが懸念されるのはアメリカよりも日本である、と大前研一氏は指摘する。もし、日本の国債が暴落し、国家が破綻してハイパーインフレになったら、日本人には何も残らない。では、国家破綻に備えて、個人でどのような対策を講じておけばよいのか? 以下は、大前氏が勧める対策である。

 * * *
 絶対にしてはいけないことは預貯金である。銀行が潰れたら消えてなくなるからだ。生命保険や信託なども同様である。タンス預金も円では意味がない。ハイパーインフレになったら紙くず同然だ。

 基本的な対策は三つしかない。一つは、資源国の通貨でのタンス預金である。タンス預金の理由は、これまでの例でハイパーインフレになって取り付け騒動が起きた場合、外銀の支店も閉鎖されてしまうからだ。

 二つ目は、金または金に準ずるコモディティに換えておく。すでに金は1オンス=1900ドルを突破して史上最高値を記録しているが、紙くずになりかねない円よりはよほど安全だ。

 流動性の高い不動産や株でもよいだろう。ハイパーインフレになると、通貨の価値がなくなってモノが高くなる。なかでも不動産はインフレに強い。世界的に見ると東京の不動産は非常に割安になっているので、流動性の高い物件を買っておくのが一つの手だと思う。

 株もインフレには通貨よりも強い。株は会社が創り出す富に裏打ちされている「モノ」であり、まともな会社の株価は、少なくともインフレ率と同じだけ上がるからだ。注意すべきは、国家が破綻したら一蓮托生でダメージを受けるような公共事業比率が高い会社の株ではなく、国家破綻の影響を受けないコンシューマー関係の会社、とくにグローバル化している会社の株を買うことだ。

 三つ目は、自分に投資して「稼ぐ力」をつけることだ。世界のどこでも稼げる能力を身につけておけば、国家破綻もハイパーインフレも恐れる必要はない。

※週刊ポスト2011年9月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

秋の園遊会で招待者と歓談される秋篠宮妃紀子さま(時事通信フォト)
《陽の光の下で輝く紀子さまの“レッドヘア”》“アラ還でもふんわりヘア”から伝わる御髪への美意識「ガーリーアイテムで親しみやすさを演出」
NEWSポストセブン
24才のお誕生日を迎えられた愛子さま(2025年11月7日、写真/宮内庁提供)
《24歳の誕生日写真公開》愛子さま、ラオス訪問の準備進めるお姿 ハイネックにVネックを合わせて顔まわりをすっきりした印象に
NEWSポストセブン
ニューヨークのイベントでパンツレスファッションで現れたリサ(時事通信フォト)
《マネはお勧めできない》“パンツレス”ファッションがSNSで物議…スタイル抜群の海外セレブらが見せるスタイルに困惑「公序良俗を考えると難しいかと」
NEWSポストセブン
中国でライブをおこなった歌手・BENI(Instagramより)
《歌手・BENI(39)の中国公演が無事に開催されたワケ》浜崎あゆみ、大槻マキ…中国側の“日本のエンタメ弾圧”相次ぐなかでなぜ「地域によって違いがある」
NEWSポストセブン
韓国・漢拏山国立公園を訪れいてた中黒人観光客のマナーに批判が殺到した(漢拏山国立公園のHPより)
《スタバで焼酎&チキンも物議》中国人観光客が韓国の世界遺産で排泄行為…“衝撃の写真”が拡散 専門家は衛生文化の影響を指摘「IKEAのゴミ箱でする姿も見ました」
NEWSポストセブン
 チャリティー上映会に天皇皇后両陛下の長女・愛子さまが出席された(2025年11月27日、撮影/JMPA)
《板垣李光人と同級生トークも》愛子さま、アニメ映画『ペリリュー』上映会に グレーのセットアップでメンズライクコーデで魅せた
NEWSポストセブン
リ・グァンホ容疑者
《拷問動画で主犯格逮捕》“闇バイト”をした韓国の大学生が拷問でショック死「電気ショックや殴打」「全身がアザだらけで真っ黒に」…リ・グァンホ容疑者の“壮絶犯罪手口”
NEWSポストセブン
渡邊渚アナのエッセイ連載『ひたむきに咲く』
「世界から『日本は男性の性欲に甘い国』と言われている」 渡邊渚さんが「日本で多発する性的搾取」について思うこと
NEWSポストセブン
“ミヤコレ”の愛称で親しまれる都プロにスキャンダル報道(gettyimages)
《顔を伏せて恥ずかしそうに…》“コーチの股間タッチ”報道で謝罪の都玲華(21)、「サバい〜」SNSに投稿していた親密ショット…「両親を悲しませることはできない」原点に立ち返る“親子二人三脚の日々”
NEWSポストセブン
ガーリーなファッションに注目が集まっている秋篠宮妃の紀子さま(時事通信フォト)
《ただの女性アナファッションではない》紀子さま「アラ還でもハート柄」の“技あり”ガーリースーツの着こなし、若き日は“ナマズの婚約指輪”のオーダーしたオシャレ上級者
NEWSポストセブン
世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン