国内

暴排条例に伴う新契約書に「信頼できないのか!」取引先激怒

業界や企業によっては、「暴力団排除条例」施行以前より反社会的勢力(反社)の排除活動に取り組んでいるが、条例施行に合わせ、初めて取り組み始めたところも多い。今回、本誌は主要企業、業界団体への聞き取り調査を実施した。各担当者からは困惑の声が聞こえてきた。

* * *
たとえば、建設業界の悩みは“相手の見極め”に関する点だ。首都圏の建設業の業界団体では9月中旬に、会員企業を対象に暴排条例の説明会を行なった。同団体の広報担当者は語る。

「直接の下請け業者の身元は分かりますが、孫請け、ひ孫請けの業者になるとわからない。協会では下請け企業に対して『二次、三次の下請け業者と契約を結ぶ際も、契約書に暴力団排除の条項を盛り込むように』と呼びかけています。そして、暴力団関係者であると発覚した場合には発注企業が賠償などを一切せずに契約を解除できるようにしておく。契約時点で一社一社調べるのは現実的ではないので、それ以外に方法はない」

確かに、「排除条項」を入れた契約書を交わすことは、事業者にとっての自衛手段として有効だ。しかし、長年の付き合いがある取引先ともなると、条例に対応するための契約更新すら、思うようにならないケースもある。

神奈川県に拠点を持つある工務店では、現場の担当者が「契約を解除できる旨」の特約を盛り込んだ新しい契約書を取引先に持ち込んだら、相手の担当者から「信用していないんですか」「こんなに長いお付き合いなのに」と泣かれたという。

後日、上司が相手の社長に会いに行き、再度、契約更新を頼むと今度は「そんなに信頼できないのか。俺はあんたのところの先代社長からの付き合いなんだ」と怒鳴られてしまった。工務店役員は、嘆息交じりに語る。

「結局その業者とは取引しないことにしましたが、いやあ、本当に参ってしまいました」

※SAPIO2011年11月16日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン