お笑い芸人が所属する大手事務所は、売れている芸人だけでなく、当然無名の若手芸人も多く抱えている。
若手芸人たちは「この事務所に所属していればいつかは先輩のように売れるかもしれない」という淡い期待を持ちながらライブ活動やテレビの前説などにいそしむわけだが、その傍らで生活のためにアルバイトをしている者が大多数だ。
しかし、売れている先輩がいるためにアルバイトもできずに、貧乏になる時期があるという。それは、先輩芸人のライブが行われるときだ。
若手芸人のAによると、「私の所属する事務所には売れっ子の先輩が何組かいて、先輩が開催するライブには若手芸人がたくさん駆り出されます。当日だけならまだしも、衣装作りや小道具作り、ライブでの転換の練習などもあり、本番の1週間~2週間くらい前から拘束されます。お弁当がギャラ代わりみたいになっていて、本当にしんどい。もちろん、交通費も出ない…。生活がかかっているのでせめて時給制にしてほしいと漏らす芸人はたくさんいます」と話す。
しかし、ライブでの手伝いは先輩と仲良くなれる機会でもある。長時間、売れている芸人と関わりを持てるライブの期間中に先輩に気に入ってもらえば、バーターとしてテレビに出られるチャンスが来るかも――そんな夢を抱いているのだ。