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水嶋ヒロに大賞与えた出版社「世に出すクオリティじゃない」

昨年12月15日に出版されるや100万部の大ベストセラーとなった、水嶋ヒロの処女小説『KAGEROU』。今となっては「そんな本あったっけ?」というのが正直な印象かもしれないこの小説だが、週刊ポストがその内幕を暴露する記事を掲載する直前、編集部にある人物が連絡を入れてきた。彼は「水嶋ヒロと絢香の世話役」と名乗っていた。そしてこう告げた。

「どんな記事になるんでしょう?」
「色々なカラミがあるので、ここはひとつ穏便に」

今思えば、このやりとりが、水嶋ヒロ(27)の「第5回ポプラ社小説大賞」受賞の裏事情を端的に表わしていた――。

昨年9月に突如芸能界引退を発表した水嶋は、そのわずか1か月後、作家として“華麗なる転身”を果たした。本名の齋藤智宏から1文字削ったペンネーム「齋藤智」でこっそりと同小説大賞に応募し、1285もの応募作のなかから見事に大賞を勝ち取った、とされた。

主催のポプラ社も「書き手が水嶋ヒロとは誰も知らなかった」といい、新聞やテレビは「素性を伏せて実力で道を切り拓いた」と美談を垂れ流した。そんな誰もが「まさか」と耳を疑ったサクセスストーリーには、案の定、裏があった。

本誌1月1日・7日号で「水嶋ヒロ『八百長美談』全内幕」と題し、一般公募で大賞受賞という触れ込みは嘘だったことをスクープしたのである。記事の内容は、以下のようなものだ。

当時、所属事務所に相談しないまま、同じ事務所のドル箱アーティストである絢香(23)との入籍を発表した水嶋は仕事を干されていた。そこで選んだのが、かねて憧れていた小説家への道だった。

そして水嶋夫妻の相談相手のひとりだったある若手広告マンが、60代の大物女性出版プロデューサー・A氏に話を持っていき、A氏の仲介で「ポプラ社小説大賞」が、水嶋の小説の“受け皿”となった。

多くの文学賞では、作家や評論家などが選考委員を務めるため、主催する出版社の意向が選考に入り込む余地はない。だが、ポプラ社小説大賞は社内の13人の編集者が選考する仕組みになっていた。取材当時、ポプラ社の関係者が内幕をこう明かした。

「ほとんどの社員が『齋藤智』の正体を知らずに選考に関わったのは事実。しかし『KAGEROU』に対しては、世に出すクオリティに達していないという理由で否定的な意見が多かった。ところが、社内で発言力のある人物が強く後押ししたこともあって、大賞に選出されたのです」

週刊ポストは水嶋と絢香の個人事務所、そして宣伝マンや出版プロデューサーに取材をかけた。事務所側は“八百長”の事実は否定したものの、相談相手として名前が挙がった2人と面識があることは認めた。

一方の宣伝マンと出版プロデューサーの狼狽ぶりは凄まじかった。出版プロデューサーに至っては「誰から聞いたんですか?」と逆取材をかけてきた。冒頭の「世話役」と名乗る人物は、そんな最中に編集部にコンタクトしてきた。

それから1年がたったが、水嶋の「次回作」は発表されないまま。それどころかCMに出演するなど完全に「芸能人」に逆戻りだ。バセドー病で休養していた妻の絢香も、紅白歌合戦で復帰する。振り返ると、水嶋の小説デビューは芸能界復帰に向けての起爆剤に過ぎなかったように思える。

『KAGEROU』は、まさに陽炎だった。

※週刊ポスト2011年12月23日号

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