国内

外でお金使うより自宅プチ贅沢で家族の絆を深めたい人が増加

2011年3月11日に起きた東日本大震災を経て、日本人の心象風景は大きく変わった。消費、対人関係、暮らし方、すべてに震災の影響が色濃く出ている。昨年末、京都・清水寺で発表された2011年を表す漢字一文字の「絆」。

家族や友人など大切な人のために買い物をする「絆消費」という言葉も生まれ、昨年はクリスマスケーキやおせちのほか、鍋セットなどもよく売れた。5月の『母の日』、6月の『父の日』には流通各社で関連ギフトが前年比1~2割増の売り上げだったという。流通ジャーナリストの金子哲雄さんが解説する。

「外食や外出にお金を使うよりも、自宅でプチ贅沢をして、家族の絆を深めたほうが幸せと感じる消費者が増えました。もともと長引く不況で、震災以前からどの家庭も家計はギリギリの状態。これに震災がきっかけとなり、家庭生活を充実させる傾向に拍車がかかったんです」

家電にも絆重視の傾向が見られる。売れているのは、エスプレッソマシンにホームベーカリーやジューサー、鍋付きのホットプレート。どれも日常生活を充実させて、家族みんなで楽しむための商品だ。

絆消費で結ばれたのは家族だけにとどまらない。

「震災後、“社会全体のためにお金を使おう”と考える『社会的消費』が増えてきました」と、前出・金子さんは指摘する。

東京・江戸川区にある、福島県観光物産交流協会が運営するアンテナショップ「ふくしま市場」。震災直後の4月は、前年同月に比べると3倍の売り上げを記録した。売れ筋は、福島産のりんごや福島のおばあちゃんが作る、白菜の漬物。

「被災地を応援しようという大きな力を感じました」(同市場)

節電や省エネ家電、エコカーの売れ行きも順調に伸びている。前出の金子さんは語る。

「被災地の特産品を買う、節電グッズを買う。すると、その後のニュースで、被災地からの感謝の声や、電力使用量がどれだけ減ったかといった話題を目にする。自分の買い物が社会と密接にかかわっていることを実感するようになりました。社会全体に役立つのであれば積極的にお金を使う消費スタイルが広がっていますね」

※女性セブン2012年1月19・26日号

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト