ライフ

ソニーの覗きながらビデオ撮れるデジタル録画双眼鏡開発秘話

世の中にない商品で人々を感動させよう――。ソニー社内で脈々と受け継がれてきた開拓者精神。そのスピリットが、また新たな商品を生み出した。あるようでなかった「デジタル録画双眼鏡」。きっかけは子供の運動会だった。

* * *
2008年秋。ソニーで業務用ビデオカメラのマーケティングを担当する西村成志氏(マーケティング部門 B&I MK課 統括課長)は、運動会で我が子が活躍する姿を映像に残すべく、家庭用ビデオカメラ片手に校庭を走り回っていた。

その時、ほかの多くの親たちと同様に、カメラの横に開いたモニターをのぞき込みながら、「運動会といえばいつもモニター越し。本当はじっくりと自分の目線で子供の活躍を観戦したい。双眼鏡型のビデオカメラでもあればいいんだが……」。

その瞬間、西村氏は閃いた。「見た通りの映像がそのまま残せれば、魅力的な商品になるのではないか。目指すのは双眼鏡と融合したビデオカメラだ!」。

初回の評議会では失笑を買った撮影機能付きの双眼鏡だったが、設計やデザインが具現化されるとともに、周囲の見方も変わってきた。その後も続いていた評議会でふるい落とされることもなく、「継続検討」として残されていた。

「周囲もじわじわと気になり始めていたことが手に取るようにわかりました。ここまで来たらより実感できる完成品に近づけて、上層部をうならせようと声を掛け合いました」

2011年になると双眼鏡にはムービーや一眼レフの最新技術、レンズが採用され、いつ商品化してもいいほどに完成度があがっていた。社内の評価も高まり、正式に商品化のGOサインが出た。

「次の子供の運動会ではこれを使います。遠くに離れていても、双眼鏡でリアルに見ることができるし、とっておきのシーンでは即撮影も開始できる。お父さんカメラマンの欲求を満足させられる」と胸を張る。

※週刊ポスト2012年2月3日号

関連キーワード

トピックス

永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《坂口健太郎との熱愛過去》25歳の永野芽郁が男性の共演者を“お兄ちゃん”と呼んできたリアルな事情
NEWSポストセブン
国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン