国内

橋下徹市長“爆弾”を次々に繰り出すも反橋下陣営の動き鈍い

 橋下徹市長と職員労組との「大阪市戦争」がヒートアップしている。これからどうなっていくのか。ジャーナリストの武冨薫氏がバトルの最前線を追った。

 * * *
 特に市営バス、水道・清掃事業といった現業部門は、非常に手当が厚く、給料が民間の同じ業種に比べて2倍以上高いケースはざらだ。そうした行政・組合一体化で無駄な事業が増え、行政の肥大化を招いてきた。

 しかも、それをチェックすべき議会も機能していない。ある中核市の元市長は、「ベテランの市議ともなると、職員の“採用枠”を持ち、人事課に口を利いて採用をもちかける。謝礼の相場は300万円とも言われる。そうした情実採用をなくすのに苦労した」と明かす。職員の採用から情実が横行し、行政・組合・議会、さらに出入り業者まで一体となった既得権集団が各自治体で形成されている。

 そうした既得権の源泉が、自治労=職員組合の政治力であり、改革しようという首長が出現すると、組合をあげた選挙運動で落選させることは鹿児島県阿久根市の竹原信一・前市長のケースでも明らかだ。

 橋下氏は施政方針で、「特定の団体や市民への補助やサービス提供が続けられ、既得権となって固定化していましたが、選挙で市民はこれに『NO』を突きつけました。既得権を破壊することが私に与えられた使命だと思っております」と語った。それに従って、「破壊」のための“爆弾”を次々に繰り出している。

 それに対して、反橋下陣営の動きは鈍い。労組の支援を受けた平松邦夫・前市長の後援会を母体に、橋下市政を監視するシンクタンクの旗揚げを準備しているくらいだ。

「橋下市長に市民の支持が高いうちは、抵抗するだけ労組が批判を浴びる。橋下氏は国政に意欲があるから、早く国政に送り出して大阪の自治を取り戻すほうが早道だ。それまでは橋下改革のマイナス面を徹底的に検証する」(市労連のベテラン組合員)

 まずは攻めよりも守りを固めようとする労組側だが、橋下氏サイドの包囲網は、着々と狭まりつつある。

※SAPIO2012年2月22日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン