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2012.03.13 07:00  週刊ポスト

「合併特例債」活用し豪華新庁舎建設進める主な自治体リスト

 野田佳彦・首相は3年前の街頭演説で、血税をすする役人を“シロアリ”と批判した。この国を食い荒らす害虫は国家公務員だけではない。国家公務員の給与削減法案は成立したが地方公務員234万人の懐には全く手が突っ込まれていない。民主党を支える自治労や日教組がそれを阻むからである。

 そんな厚遇で守られている地方シロアリの豪華な「アリ塚=庁舎」が現在、建設ラッシュを迎えていることをご存じだろうか。

 人口19万6000人の鳥取県鳥取市は、総額74億8000万円をかけて鳥取駅近くに6階建ての新庁舎を建設する(2015年完成予定)。854人の職員が使うことになる新たな庁舎には、地産地消をウリにするレストランが入るほか、ケーブルテレビやコミュニティFMの収録スタジオ設置も検討されている。

 しかし、市民には必ずしも歓迎されていない。待ったをかけたのが、「市庁舎新築移転を問う市民の会」だ。昨年7月に建設の是非を問う住民投票の開催を求め、鳥取市の法定数(有権者の50分の1の3200人)をはるかに超える5万304人の署名を集めた。住民投票は5月に行なわれる予定だ。

 新庁舎建設を急いでいるのは鳥取市だけではない。

 特に目立つ自治体の建設計画を下にまとめた。その豪華な内容を見れば、地方財政はさぞ潤っているのだろうと錯覚する。もちろん実態は、国と同じく財政は火の車だ。

 2009年度の地方自治体全体の税収は約36兆円に対し、歳出は約96兆円で、借入金残高は約200兆円に上る。

 それでも好きなだけ豪華庁舎を建てられるのは、建設費を国費で負担するバラ撒きシステムがあるからだ。下の各自治体の庁舎建設の財源には「合併特例債」が充てられている。

 2005年3月末までに合併した市町村のみに認められる特別な地方債(借金)で、合併から10年間使うことができる(2016年度まで)。件の鳥取市も起債期限が2014年度末に迫るので庁舎の建設を急いでいる。

 特例債で庁舎建設をする場合、職員数に応じて面積と建設単価に上限があった。だが、その制限が昨年4月1日に撤廃されたので、どんなに大きく豪華な庁舎でも建てられるようになった。いかに民主党政権がシロアリに甘いか、ここでもわかる。

 合併特例債の70%は国の地方交付税で賄われる。つまり、自治体の庁舎建設費の大半は市民の税金ではなく、国民全員の税金で穴埋めされるから、各自治体は「しょせんは他人のカネ」と考え、大盤振る舞いの計画を立てることになる。

 同じ特例債でも、東日本大震災の復興債とは扱いが大違いだ。野田首相や財務官僚は「被災地のため」と大宣伝する一方で、これを所得税や法人税などの増税の根拠に利用した。

 その裏で、合併特例債という単なるバラ撒きを配り続ける企みも進行中だ。現在、起債期間を10年から15年間に延長する法案まで国会で審議中であることを知る国民はほとんどいないはずだ。

 一方では「財源がない」といって国民に増税を押し付け、一方では地方の庁舎建設に大盤振る舞いでカネを配っている。

 山梨県甲府市の場合、総事業費90億円のうち、使われる特例債は55億円。その7割の38億5000万円は、国民の税金が投入されることになる。庁舎は豪華である。鳥取市を上回る地上10階、地下1階という大きさ。建物や広場全体は同市の名産である「ブドウ棚」をイメージし、太陽光発電パネルで覆われることになる。

 市が作成した「甲府市では庁舎の建替えを計画しています」というパンフレットにこう記されている。

〈合併特例債とは、合併した市町村が合併後10年間(本市の場合は、平成27年度まで)に限り使用できる大変有利な地方債です〉

 今なら国民の税金で安くできる――。これが地方シロアリの本音なのである。

【「合併特例債」を活用した新庁舎建設を進める主な自治体】
自治体名(人口)/完成予定/総事業費
山梨県甲府市(19.6万人)/2013年/90億円
兵庫県豊岡市(8.5万人)/2013年/57億円
秋田県湯沢市(5.1万人)/2014年/30~32億円
滋賀県長浜市(12.5万人)/2014年/67億円
大分県佐伯市(7.8万人)/2014年/56億円
栃木県下野市(5.9万人)/2015年/51億円
長野県安曇野市(9.9万人)/2015年/79億円
鳥取県鳥取市(19.6万人)/2015年/74億円
熊本県玉名市(6.9万人)/2015年/45億円
宮崎県延岡市(13万人)/2016年/75億円

※週刊ポスト2012年3月23日号

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