国内

森稔・森ビル会長 食事中も東京地図を離さない仕事人だった

 去る3月8日、森ビル会長の森稔氏が前立腺がんで亡くなった。昨年、会長職に退いてからは、手術を受けながら闘病生活を送っていたという――亨年77。その死は、葬儀を済ませた4日後に公表された。
 
 湘南学園中から県立湘南高校、東京大学と同窓・同級生だった、大正大学名誉教授の鈴木健次氏が語る。
 
「森くんは、昨年10月の湘南高校創立90年記念式典に出席していました。『もう大丈夫。先日はゴルフもやった』と元気だったのに」
 
 森氏は、大学留年中に父・泰吉郎氏のひと言で、家業の不動産業を手伝うことになった。1959年に東大教育学部を卒業し、父を社長に、自らは取締役となって「森ビル」を設立。以降は都内の虎ノ門や新橋周辺に中小規模の貸しビルを展開、やがてアークヒルズ、六本木ヒルズに代表される大型都市開発を手がけた。
 
 2006年開業の「表参道ヒルズ」をデザインした建築家・安藤忠雄氏はいう。
 
「森さんと知り合ったのは1978年のこと。彼は究極の仕事人で、食事中も東京の地図を離さない。体調を壊しても、病床から電話がかかってきたものです」
 
 表参道ヒルズの設計に関して森氏は、「条件は気にせず、夢を描くことからスタートしなきゃ。法律や規制の枠組みを乗り越えてこそ、新しい都市がつくれる」と叱咤激励したという。
 
 安藤氏は続ける。
 
「100年先、200年先を見据え、都市への深い愛情と高い志をもって東京の開発に邁進した人物です」

※週刊ポスト2012年4月13日号

関連キーワード

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン