今でこそ、仮面ライダーは押しも押されもせぬ正義のヒーローだが、1971年に『仮面ライダー』が初登場した当初は世界平和のために戦う孤独なダークヒーローで、番組も“SF怪奇アクション”という印象であった。
しかし主演の藤岡弘(現・弘、)のバイク事故というアクシデントによって、番組のカラーが変わっていく。主演の長期離脱という事態を乗り切るためにキャストが増員され、滝和也や一文字隼人=仮面ライダー2号といった個性豊かなキャラクターが続々誕生、これが当たった。
そして藤岡復帰後、1号と2号の共演が実現した第41話は30%超の高視聴率を記録。『仮面ライダー』は痛快なアクションドラマという性格が強まり、“常に進化を続ける番組”という方程式が確立されていった。
1971年のスタートから40年余り、現在まで主演ライダーは24人を数える。40周年を迎えた2011年には1年間で3作の映画が上映され、合計で約46億円と過去最高の興行収入を記録した。自身も仮面ライダーの大ファンだという経済評論家の森永卓郎氏が、ビジネスとしても成功を収める理由をこう解説する。
「40年以上も同じコンテンツが続いたことによって、当時ファンだった子供が親世代になり、それが子供に受け継がれた。こうして常にファンを確保できる循環ができたわけです。さらに2000年からは、イケメン俳優を起用することによって主婦層までもファンに取り込んでいった。
こうした数多いファンに向けて、カードや玩具、映画といった積極的なタイアップ戦略を仕掛けていく。昭和にスタートした『仮面ライダー』シリーズは、少子化社会にあっても衰えない強固なビジネスモデルとなっているんです」
人間の自由と正義の為に戦い、日本を元気にする仮面ライダー。その奥深さを改めて楽しみたい。
※週刊ポスト2012年4月27日号