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ハーバード大教授 薄熙来氏らは極刑に処せられるとの見方

「薄氏完全失脚 妻は殺人容疑で逮捕」「不正蓄財1000億円」「薄氏、重慶企業から1兆円没収」――。

 新聞に躍るおどろおどろしい見出しが物語るように、中国・重慶市の王立軍副市長が2月6日、米国総領事館に逃げ込んだことに端を発したいわゆる「重慶事件」は、ついに英国人実業家ネール・ヘイウッド氏の殺人事件にまで発展した。重慶市トップだった薄熙来氏は党政治局員など全職務を解任されたうえ、弁護士資格をもつ才媛の谷開来夫人や腹心らが殺人容疑で逮捕されるなど、事件は複雑怪奇。

 英紙『デイリー・テレグラフ』に至っては、米総領事館員の話として、「谷夫人は、青酸カリを飲まされてもがき苦しむヘイウッド氏の最期を見届けた。谷夫人は『私が殺した』と王立軍氏に告げた」とまで報じている。

 かつて「共産党最高指導部入りは確実」と伝えられていた薄氏は現在、胡錦濤国家主席らの指示で、身柄を地方の拘置所に移され、連日厳しい取り調べを受けているとされる。香港メディアは「谷夫人は死刑、薄氏も執行猶予付き死刑(※)か無期懲役の判決を受ける可能性がある」と報じている。

 まだ取り調べの段階で、死刑や無期懲役など判決の予測が報じられることは日本のような法治国家ではありえない。しかし、現代中国政治の世界的権威であるハーバード大のロデリック・マクファーカー教授は「薄氏らはすでに法律の手の届かないところにいる。政治問題となって、すでに公共の領域から離れている」と述べて、判決は政治問題として処理されるとの見方を示した。つまり、薄氏らは一罰百戒で極刑に処せられるというわけだ。

※執行猶予付き死刑/中国では、中華人民共和国刑法48条および50条に死刑の執行猶予に関する規定があり2年間の執行猶予期間中に罪を犯さなければ無期懲役に減刑される。

文/相馬勝(ジャーナリスト)

※週刊ポスト2012年5月18日号

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