ライフ

節電の夏迎える大阪 「節電を笑いにするはず」と県民性専門家

 この夏、昨年比15%以上の節電が強いられることになった関西電力管内。ほかの電力会社管内に比べて、もっとも節電の努力が求められるが、そのなかで、もっとも電力の使用量が多くなるのが大阪府だ。大阪人は、いままでに経験したことのない“節電の夏”をどのように乗り越えるのか? “大阪の県民性”という視点で分析した。以下は、県民性に詳しいノンフィクション作家・岩中祥史氏の解説だ。

 * * *
 大阪は狭くて、開放感がない都市。人口密度が高く、風や空気の抜けもあまり良くないので、夏は実際の気温よりも暑いとよくいわれます。エアコンの普及率も、大阪は全国2位。ちなみに1位は京都、3位兵庫、4位滋賀と、上位はすべて関西です。それからすると、この夏の節電はかなり厳しいのではないかと、誰もが不安になるかもしれません。

 ただ、大阪の人の考え方のベースは合理主義なので、これがバネになって、節電への動きにつながりそうです。電気の供給が少なくなる中でみんなが好き勝手に使ったら電力は切迫してしまう。それで困るのは自分たちなわけで、だったら、いろいろと工夫するしかないということになります。

 これは、大阪がたどってきた歴史とも深く関係しています。大阪の人たちは、国際人である歴史が東京などと比べるとはるかに長い。大阪の堺は、古代から中国大陸や朝鮮半島から多くの人が訪れ、15世紀末から17世紀初めにかけては、日明貿易、南蛮貿易などによって栄えるなど、国際交流の要所でした。外国人と頻繁に接していましたから、日本的な理屈だけでは物事が進まないことをよくわかっている。欧米風の合理主義や自己責任を重んじる考え方が浸透していったわけです。

 もともと、“お上”にいわれて何かをするというのは大嫌いで、権力や権威を受け入れるのをよしとしない人が多い。だから、政府が決めたからとか、関西電力にお願いされたから節電をするという図式にはなりにくい。だったら、それぞれが自分の判断にしたがって節電をしようということになる。自主独立の気風とでもいいますか。

 夏の節電のメインはやはりエアコン、つまりは暑さ対策でしょう。だったら、大阪人の身上といってもいい笑いで暑さを吹き飛ばしたれや、ということになってもおかしくありません。節電そのものを笑いのネタにしてしまうぐらいのバイタリティーがありますからね。お笑い芸人も一般の人も、電気が使えなくて大変だとぼやいてもしょうがないわけですから。これを機に、いままで思いつかなかった生活のアイデアが生まれる可能性もある。なんでも楽しみに変えてしまえる大阪人ですから、節電だって同じなんじゃないですか。

 東京だったら、節電のアイデアを競い合うとか直線的な方向にいくでしょ。でも、大阪はそういうことにはならないと思います。生活力とか気持ちの余裕という部分では、大阪人の方が東京なんかよりはるかに上を行っていますから。大阪人はこの夏、“楽しい節電生活”を心ゆくまで謳歌すると思いますよ。

関連記事

トピックス

岸信夫元防衛相の長男・信千世氏(写真/共同通信社)
《世襲候補の“裏金相続”問題》岸信夫元防衛相の長男・信千世氏、二階俊博元幹事長の後継者 次期総選挙にも大きな影響
週刊ポスト
海外向けビジネスでは契約書とにらめっこの日々だという
フジ元アナ・秋元優里氏、竹林騒動から6年を経て再婚 現在はビジネス推進局で海外担当、お相手は総合商社の幹部クラス
女性セブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
女優業のほか、YouTuberとしての活動にも精を出す川口春奈
女優業快調の川口春奈はYouTubeも大人気 「一人ラーメン」に続いて「サウナ動画」もヒット
週刊ポスト
真剣交際していることがわかった斉藤ちはると姫野和樹(各写真は本人のインスタグラムより)
《匂わせインスタ連続投稿》テレ朝・斎藤ちはるアナ、“姫野和樹となら世間に知られてもいい”の真剣愛「彼のレクサス運転」「お揃いヴィトンのブレスレット」
NEWSポストセブン
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
デビュー50年の太田裕美、乳がん治療終了から5年目の試練 呂律が回らず歌うことが困難に、コンサート出演は見合わせて休養に専念
女性セブン
今回のドラマは篠原涼子にとっても正念場だという(時事通信フォト)
【代表作が10年近く出ていない】篠原涼子、新ドラマ『イップス』の現場は和気藹々でも心中は…評価次第では今後のオファーに影響も
週刊ポスト
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
韓国2泊3日プチ整形&エステ旅をレポート
【韓国2泊3日プチ整形&エステ旅】54才主婦が体験「たるみ、しわ、ほうれい線」肌トラブルは解消されたのか
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン