日本人なら誰もが知る国民食というべき“あんぱん”。その考案者は「銀座木村家」の初代・木村安兵衛親子だ。以来、137年もの間、「木村家一族」によって引き継がれた同店は、常に日本のパン業界をリードしてきた。2011年度の売上高はグループ会社含めて140億円にもなる。今年5月にはスカイツリーのお膝元「ソラマチ」にも、あんぱんをメイン商品に据えた新業態のカフェを出店し話題にもなった。
そんな木村家でお家騒動が勃発していた。発端は今年3月末に、木村美貴子氏(35才)が新たに銀座木村家の社長に就任したことだった。
「それまでは会長職にあった美貴子さんの父・信義さん(67才)が会社の実権を握っていたんです。表向きは娘を抜擢したように見えますが、実は信義さんは、娘の手で木村家を追放されているんですよ。信義さんは木村家の功労者なのに、いまは収入もゼロになってしまったんです」(木村家関係者)
真相を取材すべく、女性セブンは信義氏の自宅を訪ねると、信義氏の事実婚妻であるA子さん(41才)が、内情を話してくれた。
A子さんが信義氏と交際、同居が始まったのはいまから10年ほど前のこと。当時、信義氏には妻がいた。
「私は実家の手伝いをしていたんですが、あるパーティーで信義さんに出会いました。親子ほどの年の差はありましたが、彼が木村家に懸ける思いを聞いて、すぐに惹かれました。その時、信義さんと奥さんの夫婦関係は破綻していて、すでに別居もしていました」(A子さん・以下同)
当時、信義氏は、妻との間の子供であった美貴子氏とは良好な関係で、ともに木村家の経営に携わっていた。しかし父と母が離婚し、A子さんの存在を知ると、美貴子氏は父への態度を一変させたと、A子さんはいう。
「美貴子さんは木村家グループの総務を担当していたんですが、私の存在を知ると、信義さんの役員報酬を8割以上減額したんです。それまではパパっ子で彼の話を素直に聞く娘だったそうですが…」
事実とすれば、家族間の感情的な行き違いが、「役員報酬の額」という経営上の問題に影響を与えたことになる。A子さんはさらに続ける。
「美貴子さんは、それまで父をよく思っていなかった、親戚でもある役員たちを味方にして、社内での力を強固にしていきました。それで信義さんは会社に行っても、頼れる社員がいなくなって、居場所さえなくなってしまったんです」
そして今年3月末、信義氏は会長職を解任された。A子さんによれば、そうした経緯はすべて、A子さんの存在を快く思っていない美貴子氏の判断によるものというのだが…。
銀座木村家は信義氏解任の理由について、女性セブンの取材に、「取締役としての適性を欠くという、専ら業務上の理由」と説明。あくまでも経営上の判断としている。
※女性セブン2012年8月9日号