国際情報

億万長者比率世界一はシンガポールの18% 平均GDP日本超え

 規模の拡大を目指す「ボリューム国家」に対し、質の向上を目指す「クオリティ国家」がいま世界で繁栄している。日本の道州と同程度の規模だというこれらの国家の特徴を、大前研一氏が解説する。

 * * *
 いま世界で繁栄している国には共通点がある。人口が数百万~1000万人、1人当たりGDPが400万円以上で、世界を取り込むのが非常にうまいことだ。これらの国を私は「クオリティ国家」と呼んでいる。規模の拡大を目指す「ボリューム国家」に対して質の向上を目指す国である。

 その特徴は、私が提唱する日本の道州と同じくらいの大きさで、日本と違って世界からカネ、企業、ヒトを呼び込むために税金体系を自由に決めており、ほとんどの国は相続税がゼロで所得税や法人税も安いことだ。

 代表例はスイスだ。人口約790万人で国内市場が小さいため、自国企業がどんどん世界に出て行って稼いでいる。食品・飲料会社のネスレ、時計メーカー、IWC(インターナショナル・ウォッチ・カンパニー)やスウォッチ、人材派遣会社のアデコなど世界企業は枚挙に暇がない。

 法人税は連邦税と州・地方自治体(市町村)税からなり、連邦税は一律8.5%、州・地方自治体税は3~21%だが、すべての州で持ち株会社と管理会社に対する優遇税制や、新規に設立した会社に対する最長10年の法人税減免制度がある。

 相続税はなく、所得税は法人税と同じく連邦と州・地方自治体で世帯単位に課税され、連邦税の最高税率は11.5%、州・地方自治体ごとに課税方式が異なる。世界の有力企業と金持ちに来てもらいたいから、敷居を低くしているのだ。

 シンガポールも同様だ。東京23区と同じくらいの面積しかないのに、1人当たりGDPではすでに日本を抜いてアジア最強国家となっている。米『タイム』誌によれば、世界で最も億万長者比率の高い国が人口518万人のシンガポールで、なんと全世帯の18%がミリオネアだという。

 また、世界中から優秀な人材を100万人以上も呼び込んだり、7割の家庭がフィリピン人などの家政婦を雇ったり、自国に足りないものは規制を撤廃して何でも“輸入”し、成長の原動力にしている。

※週刊ポスト2012年8月31日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

オフの日は夕方から飲み続けると公言する今田美桜(時事通信フォト)
【撮影終わりの送迎車でハイボール】今田美桜の酒豪伝説 親友・永野芽郁と“ダラダラ飲み”、ほろ酔い顔にスタッフもメロメロ
週刊ポスト
バドミントンの大会に出場されていた悠仁さま(写真/宮内庁提供)
《部活動に奮闘》悠仁さま、高校のバドミントン大会にご出場 黒ジャージー、黒スニーカーのスポーティーなお姿
女性セブン
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
《那須町男女遺体遺棄事件》剛腕経営者だった被害者は近隣店舗と頻繁にトラブル 上野界隈では中国マフィアの影響も
女性セブン
日本、メジャーで活躍した松井秀喜氏(時事通信フォト)
【水原一平騒動も対照的】松井秀喜と全く違う「大谷翔平の生き方」結婚相手・真美子さんの公開や「通訳」をめぐる大きな違い
NEWSポストセブン
足を止め、取材に答える大野
【活動休止後初!独占告白】大野智、「嵐」再始動に「必ず5人で集まって話をします」、自動車教習所通いには「免許はあともう少しかな」
女性セブン
今年1月から番組に復帰した神田正輝(事務所SNS より)
「本人が絶対話さない病状」激やせ復帰の神田正輝、『旅サラダ』番組存続の今後とスタッフが驚愕した“神田の変化”
NEWSポストセブン
大谷翔平選手(時事通信フォト)と妻・真美子さん(富士通レッドウェーブ公式ブログより)
《水原一平ショック》大谷翔平は「真美子なら安心してボケられる」妻の同級生が明かした「女神様キャラ」な一面
NEWSポストセブン
裏金問題を受けて辞職した宮澤博行・衆院議員
【パパ活辞職】宮澤博行議員、夜の繁華街でキャバクラ嬢に破顔 今井絵理子議員が食べた後の骨をむさぼり食う芸も
NEWSポストセブン
二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ
《独立後相次ぐオファー》二宮和也が『光る君へ』で大河ドラマ初出演へ 「終盤に出てくる重要な役」か
女性セブン
被害者の宝島龍太郎さん。上野で飲食店などを経営していた
《那須・2遺体》被害者は中国人オーナーが爆増した上野の繁華街で有名人「監禁や暴力は日常」「悪口がトラブルのもと」トラブル相次ぐ上野エリアの今
NEWSポストセブン
交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
運送会社社長の大川さんを殺害した内田洋輔被告
【埼玉・会社社長メッタ刺し事件】「骨折していたのに何度も…」被害者の親友が語った29歳容疑者の事件後の“不可解な動き”
NEWSポストセブン