ライフ

旬のサンマ 塩振るのは焼く30分~1時間前で頭が左から焼く

 料理教室の生徒を多数かかえ、テレビや雑誌に引っ張りだこの“登紀子ばぁば”こと、料理研究家の鈴木登紀子さん(88才)。そんな鈴木さんが、今が旬の秋刀魚の焼き方を教えてくれた。

 * * *
 今年も、秋刀魚の水揚げが始まりました。日本もようやく秋を迎えます。

 刀のようにほっそりと長く、銀色の美しい体をもつ秋刀魚。昔からこれほど、私たち日本人の生活になじみの深い魚はいないのではないでしょうか。これから10月にかけては、脂ものってひとしおのおいしさ。炊きたての新米と秋刀魚の塩焼きという素朴な組み合わせは、「日本人でよかった」としみじみうれしくなりますわね。

 さて、旬の秋刀魚をいただくことにいたしましょう。

 とにもかくにも、秋刀魚はわたを取らずに塩焼きにし、わたのほろ苦さとともに味わいつくすのが常道です。鮮度のよいものは、“わたがキモ”なのですから。

 まず、秋刀魚の皮目をサッと洗ってから、キッチンペーパーなどで水けをよく拭き取ります。それから、尺塩といって、片手に軽く握った塩を、30cmほど上からパラパラと魚に落とします。こうすると魚にまんべんなく塩をふることができ、焼き上がりも美しくなります。尺塩が上手にできるようになったら、ちょっと格好よろしいわよ(笑い)。

 秋刀魚をおいしく焼き上げるためには、塩をふるタイミングも大切です。

 切り身魚でも一尾の魚でも、通常は「焼く直前に塩をふる」のが基本。しかし、脂のよくのった秋刀魚や鰯、鯖、鰤などは焼く30分前から1時間前と覚えてください。脂が強い魚は塩が効きにくく、焼く直前に塩をしたのでは上手に回らずに、うまみも引き出されないからです。

 さあ、いよいよ秋刀魚を焼きますよ。さて、網に置いた秋刀魚はどちらを向いていますかしら?

 一尾づけの魚の場合、盛り方を知らずに焼いても意味がありません。必ず左に頭、右に尾、腹を手前に盛るのが日本料理のしきたりです。切り身でしたら皮が向こう側へいくように盛り、あじの開きなどは皮を表にして盛るのが作法ですが、食べやすいように身を上にしてお出ししてもよいでしょう。

 これを念頭において、器に盛るときに上になるほう、つまり、秋刀魚一尾でしたら、頭が左になる面を最初に焼きます。これはしっかり覚えておいてくださいね。あとから焼く面は、脂がにじんだり、落ちた脂が燃えてすっきり焼き上がらないのが常だからです。

 火加減は昔から「遠火の強火」が鉄則です。炎の先が焼き網につくようではいけません。では中火や弱火でよいかというと、そうはいかないのが焼き魚の妙。あくまで“遠火の強火”にあてるのです。

 しかし、ご家庭の引き出し式グリルでは、そういうわけにもいきません。そこで、串などで突いて小さな穴を細かく開けたアルミ箔をかぶせるなどの工夫で、焦げつきを防ぐことができます。いっそ、薄くサラダ油を敷いてフライパンで焼いたり、切り身でしたらオーブンで焼くと、ふっくら焼き上がります。

 器に盛りましたら、たっぷりの大根おろしを添え、すだちなどを搾りかけ、あつあつを召しあがれ!

※女性セブン2012年9月27日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドバイの路上で重傷を負った状態で発見されたウクライナ国籍のインフルエンサーであるマリア・コバルチュク(20)さん
《“ドバイ案件”疑惑のウクライナ美女》参加モデルがメディアに証言した“衝撃のパーティー内容”「頭皮を剥がされた」「パスポートを奪われ逃げ場がなく」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
【伊東市・田久保市長が学歴詐称疑惑に “抗戦のかまえ” 】〈お遊びで卒業証書を作ってやった〉新たな告発を受け「除籍に関する事項を正式に調べる」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
《不動産投資会社レーサム元会長・注目の裁判始まる》違法薬物使用は「大きなストレスで…」と反省も女性に対する不同意性交致傷容疑は「やっていない」
NEWSポストセブン
女優・福田沙紀さんにデビューから現在のワークスタイルについてインタビュー
《いじめっ子役演じてブログに“私”を責める書き込み》女優・福田沙紀が明かしたトラウマ、誹謗中傷に強がった過去も「16歳の私は受け止められなかった」
NEWSポストセブン
中国の人気芸能人、張芸洋被告の死刑が執行された(weibo/baidu)
《中国の人気芸能人(34)の死刑が執行されていた》16歳の恋人を殺害…7か月後に死刑が判明するも出演映画が公開されていた 「ダブルスタンダードでは?」の声も
NEWSポストセブン
13日目に会場を訪れた大村さん
名古屋場所の溜席に93歳、大村崑さんが再び 大の里の苦戦に「気の毒なのは懸賞金の数」と目の前の光景を語る 土俵下まで突き飛ばされた新横綱がすぐ側に迫る一幕も
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(右・時事通信フォト)
「言いふらしている方は1人、見当がついています」田久保真紀氏が語った証書問題「チラ見せとは思わない」 再選挙にも意欲《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、夫の音楽家・塩入俊哉氏(時事通信フォト、YouTubeより)
「結婚前から領収書に同じマンション名が…」「今でいう匂わせ」参政党・さや氏と年上音楽家夫の“蜜月”と “熱烈プロデュース”《地元ライブハウス関係者が証言》
NEWSポストセブン
学歴を偽った疑いがあると指摘されていた静岡県伊東市の田久保真紀市長(共同通信/HPより)
《伊東市・田久保市長が独占告白1時間》「金庫で厳重保管。記録も写メもない」「ただのゴシップネタ」本人が語る“卒業証書”提出拒否の理由
NEWSポストセブン
7月6~13日にモンゴルを訪問された天皇皇后両陛下(時事通信フォト)
《国会議員がそこに立っちゃダメだろ》天皇皇后両陛下「モンゴルご訪問」渦中に河野太郎氏があり得ない行動を連発 雅子さまに向けてフラッシュライトも
NEWSポストセブン
参院選の東京選挙区で初当選した新人のさや氏、経世論研究所の三橋貴明所長(時事通信フォト)
参政党・さや氏が“メガネ”でアピールする経済評論家への“信頼”「さやさんは見目麗しいけど、頭の中が『三橋貴明』だからね!」《三橋氏は抗議デモ女性に体当たりも》
NEWSポストセブン
かりゆしウェアをお召しになる愛子さま(2025年7月、栃木県・那須郡。撮影/JMPA) 
《那須ご静養で再び》愛子さま、ブルーのかりゆしワンピースで見せた透明感 沖縄でお召しになった時との共通点 
NEWSポストセブン