国内

中曽根氏 橋下市長の言動はまだ地域政治家の枠を出ていない

 尖閣問題などで漂流する日本の政治。それを打破するには何が必要なのか。「第三極」として注目される「日本維新の会」は打破できる存在なのか。4年11か月に及ぶ長期政権を担った中曽根康弘元首相が日本維新の会について語る。

――既成政党へのアンチテーゼとして、橋下徹大阪市長に注目が集まっている。

中曽根:本人は維新政治家と思っているのだろうが、まだ大阪地方の地域政治家の域を出ない。国政選挙を通じていかに中央に進出し、全国に手足を伸ばしていくかが今後の道だと思うが、現状は新党「日本維新の会」がこれから選挙体制を作ろうとしている程度で体制はできていない。

 明治維新を連想させる「維新」という名前をうまく使っているが、現実は客観情勢も主体的な実力もまだ地域的勢力に過ぎない。本人の政治思想と行動力がどのようなものか試されている。

――彼には何が一番必要か。

中曽根:パートナーを持つことだ。現役の政治家、学者や知識人、あるいは財界人など、パートナーというバックグラウンドを作り上げていくことがこれからの仕事だ。それで力量が見えてくる。

―― 既得権の打破を掲げ、リーダーシップを発揮できるよう、首相公選制を唱えている。

中曽根:今の日本社会の固着状態をもっと弾力的なものに変えようと、その第一声を大阪で上げたのだろうが、今までの言動は、まだ地域政治家の枠を出ていない。

 私はかつて首相公選制を唱えた。それを彼が今また唱えている。私の場合は国会議員として、国政に対する発言力、中央政治に対する影響力を持ってやった。全国に首相公選の塔を建て、中央にも改憲の運動母胎を作った。

 しかし、彼の場合は大阪という地域に留まっている。本人が選挙を通じて国政に打って出るのか。国会議員にならないのならば、彼の言葉は揚言になってしまう。これは他人に任せるようなことではない。自分で率先して飛び込んでやることだ。

※SAPIO2012年11月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
「What's up? Coachella!」約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了(写真/GettyImages)
Number_iが世界最大級の野外フェス「コーチェラ」で海外初公演を実現 約7分間、圧巻のパフォーマンスで観客を魅了
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
天皇皇后両陛下、震災後2度目の石川県ご訪問 被災者に寄り添う温かいまなざしに涙を浮かべる住民も
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
大谷翔平を待ち受ける試練(Getty Images)
【全文公開】大谷翔平、ハワイで計画する25億円リゾート別荘は“規格外” 不動産売買を目的とした会社「デコピン社」の役員欄には真美子さんの名前なし
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン