国内

ビートたけし 金を見せびらかす等金持ちも下品になったと指摘

 新作映画『アウトレイジ ビヨンド』が好評の北野武監督。もちろん芸人・ビートたけしとしてずっと以前から国民的人気者だ。そのたけし氏は、生活保護の不正受給問題など「みっともないこと」を平気でするようになった日本社会の変質を嘆く。そしてそうした変化は貧乏人だけではないと指摘する。

 * * *
 やっぱりある意味では、アメリカの民主主義やら資本主義がこの国をおかしくしちまったんじゃないかと思うこともあるね。歴史のない国のモノマネをして、かえって国が悪くなったんだよ。

 大量生産・販売の大きなスーパーやらがドンドン幅を利かせて、古くからの商店街はなくなっちまった。大資本のおかげで安くていい物が簡単に手に入るようになったけど、その代わりに店と客の人間関係は消えちまった。小泉サンや橋下サンみたいな強引な政治もいいけど、規制緩和や改革で壊れちまうものもあるってのも本当なんだよ。

 昔は用もないのになじみの店のおばちゃんと世間話をしたりする日常の風景があった。もしスーパーやコンビニで店員にやたらと話しかけたりしたら、やれストーカーだ、クレーマーだと勘違いされちまうもんな。そりゃ殺伐としてくるに決まってるよ。

 近所のつながりが薄れれば他人の目を意識しなくなって、自分の「品格」すら気にならなくなる。そんな悪循環が起こっているわけだよ。

 貧乏人だけじゃなく、金持ちだって下品になった。昔の金持ちは、今のIT長者みたいに金を見せびらかすことは決してしなかった。

 昔の人たちは、金が不浄のものだということを本質的に知っていたんじゃないかな。江戸っ子がよく「宵越しの銭は持たない」なんていってたのも、それは「貧乏だけどカネのために生きてるわけじゃない」っていうせめてもの誇りだったんだと思う。

 だから本当の金持ちは地味な格好をしていたし、逆に派手な格好をしている金持ちを「品のない成金だ」とバカにしたわけ。金持ちであることの「後ろめたさ」みたいなものが、成功した人の品格を作っていたのかもな。

 それが資本主義万々歳の世の中になって、成金とバカにされた話が「サクセスストーリー」ともてはやされ、下品なヤツが大手を振って歩くようになる。世の中全体が下品になるのは当たり前だよね。

※SAPIO2012年11月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
解散を発表したTOKIO
《国分太一コンプラ違反で解散のTOKIO》山田美保子さんが31年間の活動を振り返る「語り尽くせぬ思い出と感謝がありました」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
モンゴルを訪問される予定の雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、「灼熱のモンゴル8日間」断行のご覚悟 主治医とともに18年ぶりの雪辱、現地では角界のヒーローたちがお出迎えか 
女性セブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン