国内

広島小5女児虐待死の28才鬼母 行政は同居を問題ないと判断

 10月1日、広島県府中町の自宅で無職の堀内亜里容疑者(28才、傷害致死容疑)が小学5年生の長女・唯真ちゃん(11才)を死亡させる虐待事件が発生した。練習用のゴルフクラブで、幼い娘を30分以上にわたって殴打する残忍さだった。

 亜里容疑者は17才のときに唯真ちゃんを出産。その後、経済的問題などから離れて暮らしていたが、4才になった2006年3月、家庭センターに「子供と暮らしたい」と願い出る。センター側は「祖母が子育てを支援する」ことを条件にこれを受け入れ、唯真ちゃんは母の亜里容疑者と祖母の3人で共に暮らし始めた。

 しかし、それこそが悲劇の始まりだった。生活能力のない亜里容疑者に育児は荷が重すぎたのだろう。子育てが思うにままならず、「しつけ」という虐待が始まった。同居3年目の2009年2月、近所住民から虐待を疑う一報が東広島市に入った。

 亜里容疑者による虐待発覚後、7才で再び母親と別れた唯真ちゃんは広島県呉市内の児童養護施設に入所した。4人1部屋の2段ベッドに寝泊まりしながら、近隣の小学校に通ったが、一度知った母親を求める気持ちは抑えられないようになっていた。

「家に帰りたい。お母さんと暮らしたい」

 施設ではしきりにそう訴えたという。亜里容疑者がにっこり笑った似顔絵を描き、<おかあさんへ きてくださいね>と綴ったクラス発表会の招待状を母親に送ったこともある。娘の訴えに、亜里容疑者は面会に訪れるようになり、やがて外泊が認められるようになった。

「計20回ほどの外泊を重ね、母子も一緒に暮らすことを希望していました。関係が良好だったので、問題ないと判断しました。ふたりが住んだ府中町には過去に虐待があったことを伝えましたが、“継続して見てください”とは連絡しませんでした」(子ども家庭課児童グループ担当者)

 こうして行政による“見守り”が終了し、母子は孤立を深めていく。厚生労働省の「子ども虐待対応の手引き」では、虐待された子供が家庭に戻った後も支援を継続することが明記されている。ただし、これは義務ではない。虐待の相談件数が毎年過去最多を記録するなか、職員の負担も増しており、すべての親子に対応しきれていない現実もある。

 2010年12月から亜里容疑者と唯真ちゃんは再び同居。今度は「祖母と同居」という条件はなく、亜里容疑者が水商売などで稼ぎながら生活を支えた。この家で内縁関係の男性と3人で暮らしたこともあったというが、この男性とはすぐに別居。

 ほどなくして亜里容疑者による日常的な虐待が再び始まった。亜里容疑者はこれまでの経験からか、虐待が発覚しないよう唯真ちゃんの衣服に隠れるお腹や胸部を殴打した。

 唯真ちゃんは自分が受けている虐待を学校や施設に訴えることはなかった。それをすれば大好きな母親と引き離されてしまう。虐待にじっと耐え、泣き声をあげることもなかったので、近所の人や学校関係者はまったく気づかなかった。

※女性セブン2012年11月1日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

大谷の母・加代子さん(左)と妻・真美子さん(右)
《真美子さんの“スマホ機種”に注目》大谷翔平が信頼する新妻の「母・加代子さんと同じ金銭感覚」
NEWSポストセブン
トルコ国籍で日本で育ったクルド人、ハスギュル・アッバス被告(SNSより)
【女子中学生と12歳少女に性的暴行】「俺の女もヤられた。あいつだけは許さない…」 執行猶予判決後に再び少女への性犯罪で逮捕・公判中のクルド人・ハスギュル・アッバス被告(21)の蛮行の数々
NEWSポストセブン
二階俊博・元幹事長の三男・伸康氏が不倫していることがわかった(時事通信フォト)
【スクープ】二階俊博・元自民党幹事長の三男・伸康氏が年下30代女性と不倫旅行 直撃に「お付き合いさせていただいている」と認める
NEWSポストセブン
雅子さまにとっての新たな1年が始まった(2024年12月、東京・千代田区。写真/宮内庁提供)
《雅子さま、誕生日文書の遅延が常態化》“丁寧すぎる”姿勢が裏目に 混乱を放置している周囲の責任も
女性セブン
M-1王者であり、今春に2度目の上方漫才大賞を受賞したお笑いコンビ・笑い飯(撮影/山口京和)
【「笑い飯」インタビュー】2度目の上方漫才大賞は「一応、ねらってはいた」 西田幸治は50歳になり「歯が3本なくなりました」
NEWSポストセブン
司忍組長も姿を見せた事始め式に密着した
《山口組「事始め」に異変》緊迫の恒例行事で「高山若頭の姿見えない…!」館内からは女性の声が聞こえ…納会では恒例のカラオケ大会も
NEWSポストセブン
浩子被告の顔写真すら報じられていない
田村瑠奈被告(30)が抱えていた“身体改造”願望「スネークタンにしたい」「タトゥーを入れたい」母親の困惑【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
「好きな女性アナウンサーランキング2024」でTBS初の1位に輝いた田村真子アナ(田村真子のInstagramより)
《好きな女性アナにランクイン》田村真子、江藤愛の2トップに若手も続々成長!なぜTBS女性アナは令和に躍進したのか
NEWSポストセブン
筑波大学・生命環境学群の生物学類に推薦入試で合格したことがわかった悠仁さま(時事通信フォト)
《筑波大キャンパスに早くも異変》悠仁さま推薦合格、学生宿舎の「大規模なリニューアル計画」が進行中
NEWSポストセブン
『世界の果てまでイッテQ!』に「ヴィンテージ武井」として出演していた芸人の武井俊祐さん
《消えた『イッテQ』芸人が告白》「数年間は番組を見られなかった」手越復帰に涙した理由、引退覚悟のオーディションで掴んだ“準レギュラー”
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン