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医療・がん保険に入るより貯蓄で対応するほうが合理的な理由

 生命保険は加入者の人生と家族を守るための「武器」であると同時に、保険会社にとっては「メシの種」である。

 生保がボロ儲けするカラクリは付加保険料にある。死亡率の設定は各社でおおよそ横並びで、保険料に含まれる純保険料は、会社間によって驚くほどの差はないはずだ。

 では、なぜ同じ保障内容の商品なのに生保によって保険料が違ってくるのか。経費、つまり付加保険料の額が違うからだ。

 高給で知られる生保社員の人件費も、販売代理店などの販売手数料も経費として保険料に反映されている。さらに、全国主要都市から地方都市まで、必ずといっていいほど存在する生保のビルの購入や賃借にかかる費用も経費なのである。

 人気女優などを使ったテレビCMで宣伝される商品は、ついついお得な保険だと思いがちだ。だが、生保がCMまで打って売りたがるのは、会社側にメリットが大きい、利益率が高い保険だからだろう。そして、そうした大量のテレビCMの超高額な宣伝費も付加保険料として保険料に上乗せされている。

『生命保険の「罠」』(講談社)などの著書がある後田亨・保険相談室代表が指摘する。

「もとより生保は慈善事業をやっているわけではない。しかし、商品力がないことを高額なイメージ広告を打って補うことは、相互扶助の仕組みとしては本末転倒です」

 最近は、やたらとがん保険のテレビCMを見る機会が多くなった。それに伴い、生保の主力商品は「定期特約つき終身保険」から「医療、がん保険」に変わってきた。

 少子高齢化によって子供がいる家庭が減ったり、単身者が増えたりしたことで、昔ほど遺族にお金を残す必要がなくなり、死亡保障の商品の契約が減少した。そこで生保は、新たな金脈として“生きている間のリスク”を強調するようになったのだ。

 それは単に保険会社のビジネスの事情だ。もともと、入院やがんへの備えは、医療・がん保険に入るより、貯蓄で対応するほうが合理的といえる。むしろ、貯蓄で対応できない死亡保障のほうが、消費者にとって保険の価値は高い。

※週刊ポスト2013年1月11日号

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