芸能

ドラマで肌の露出が減る一方で描写ばかり過激化した理由は?

 時代に合わせて変化を遂げてきたドラマ内での性描写。1970~80年代は、女優たちが自らの演技への情熱と覚悟を示すために脱いだ時代だったが、1990年代になると肌の露出は極端に少なくなる。

 有名女優の代表作を例にあげても、豪快な脱ぎっぷりが見られるのは、新人時代の常盤貴子が風俗嬢役でバストトップを見せた『悪魔のKISS』(フジテレビ系・1993年)や、川島なお美がフルヌードで迫真の不倫愛を再現した『失楽園』(日本テレビ系・1997年)ぐらい。その代わり、脱がずに描かれる性描写の内容はレイプシーン、レズシーンなどといった、より過激な行為を想像させるものに変化していった。

 たとえば『ひとつ屋根の下』(フジテレビ系・1993年)や『高校教師』(TBS系・1993年)など野島伸司脚本のドラマでは、必ずといっていいほどレイプシーンが登場する。家族で野島ドラマを見ていて、お茶の間が凍りつくことたびたびだった。

『ラブコンプレックス』(フジテレビ系・2000年)では、伊東美咲が西田尚美と女性どうしのベッドシーンを熱演している。多くのテレビ関係者が「特に印象に残っている」と語るのが、『不機嫌な果実』(TBS系・1997年)の石田ゆり子の濡れ場だ。

「下着姿で目隠しされてバイブで責められたり、とにかく何でもありの過激さだった。これと比べれば今の『幸せの時間』のベッドシーンもかすむほどだと思う」(制作会社スタッフ)

 なぜ90年代は、露出の度合は低くなったものの描写が過激化したのか。『岸辺のアルバム』『ふぞろいの林檎たち』(ともにTBS系)などの名作ドラマを演出してきた大山勝美氏がいう。

「90年代に入り、テレビはお茶の間で家族で楽しむものではなく、個室で個人個人が楽しむものになった。そのため世代的なターゲットを絞り込むようになった。若い男性であれば当然よりエロティックなものを求めるし、F1層(18~35歳の女性)もドロドロした恋愛を好む。そのため『高校教師』のような過激なドラマが量産されるようになった」

※週刊ポスト2013年1月1・11日号

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