国内

国土強靭化に必要な法改正 この数か月が好機と大前研一氏

 日本のインフラの多くは、建設から40~50年経ち、老朽化が進んでいる。大前研一氏は、「政権交代の今こそ、低コストでインフラを甦らせるチャンスだ」と指摘する。

 * * *
 街並みの整備などを行なう事業は従来のように税金でインフラを造るのではなく、「BOT(Build Operate & Transfer)」を導入すべきである。

 BOTはインフラ整備・運営の一手段で、民間企業が独自の資金を使って公共の認可のもとに施設を整備(Build)して運営(Operate)し、一定期間にその利用料金で投資資金を回収した後、公共にその施設を移管(Transfer)するという事業方式だ。このやり方なら経済が非常に活性化するし、ほとんどのインフラは15~20年で投資資金を回収できる。

 財源は税金ではなく、プロジェクトごとに民間企業がファイナンスして、高速道路の通行料金、水道料金、電気料金、ガス料金などに上乗せして賄われる。街並み整備と一緒にやれば、区画ごとに大規模な居住空間が新たに生まれるので、それで投資のほとんどを回収できる。

 今は都心でも平均2.6階でしかない東京の場合は入居者を増やして投資を回収し、従来から住んでいる人は自分たちの安心・快適な居住空間を無料で手に入れることができる。税金を湯水のように使って無駄を繰り返す従来の公共事業よりずっと効率的であり、NOと言う人は多くないはずだ。こうしたことは大都市でこそ効果が生まれるので、何でもかんでも全国一律、という古い自民党の体質に戻らないことが大切である。

 これらの政策の実行に必要な法律の制定や改正は、新政権が可及的速やかにやってしまうことが大切だ。乱暴に聞こえるかもしれないが、議論する期間は短ければ短いほどよい。議論が長引くと、政治家や官僚たちがそれぞれの利権で「これが嫌だ」「あれが嫌だ」と言い始めて前に進まなくなり、またぞろバラ撒きが始まってしまう。つまりこの数か月がチャンスである。

 それができず、土地の取得しやすい過疎地を中心として旧来型の公共事業をするならば、経済効果は得られず、国債の赤字は膨れ上がって、自民党は早晩政権を手放すことになるだろう。

※SAPIO2013年2月号


関連記事

トピックス

愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
羽生結弦が主催するアイスショーで、関係者たちの間では重苦しい雰囲気が…(写真/AFLO)
《羽生結弦の被災地公演でパワハラ告発騒動》アイスショー実現に一役買った“恩人”のハラスメント事案を関係者が告白「スタッフへの強い当たりが目に余る」
女性セブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
『ここがヘンだよ日本人』などのバラエティ番組で活躍していたゾマホンさん(共同通信)
《10人の子の父親だったゾマホン》18歳年下のベナン人と結婚して13年…明かした家族と離れ離れの生活 「身体はベナン人だけど、心はすっかり日本人ね」
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン