1月22日の金融政策決定会合で消費者物価の2%上昇を目指す「インフレ目標」を導入、4月には新総裁人事も控え、国民の注目度が高まっている日本銀行。
その日銀が開業したのは明治15年。金や銀と交換できない不換紙幣が横行し通貨価値が不安定だった当時、松方正義大蔵卿が正貨兌換の銀行券を発行する中央銀行の必要性を提議したことがきっかけだった。
以後、日銀は我が国の金融政策を司る「通貨の番人」として君臨。現在は5000人近い従業員を抱え、全国に32の支店、14の事務所、そして海外に7つの駐在員事務所を持つ。資本金は1億円。55%は政府出資で、残りの45%は民間出資の認可法人。出資証券はジャスダックに上場している。
日銀の業務は大きく分けると2つ。1つ目が「日本銀行券の発行と管理」だ。世の中に出回る日本銀行券の発行高は86兆6533億円(昨年12月末時点)。上に積み上げると1425km、富士山の377倍の高さに及ぶ。それだけの紙幣を日銀が管理しているのである。
そして2つ目の業務が「物価と金融システムの安定」だ。経済評論家で元日銀マンの池田健三郎氏がいう。
「これは1998年に改正された日本銀行法で明文化されたもので、最高意思決定機関である政策委員会ですべての政策が決定されます。日本の経済状況が安定しているかどうかが、そのまま日銀の業務評価になるのです」
具体的に業務を行なうのは15の局室研究所。金融政策決定会合での検討事項の論点を整理する「企画局」や、海外の経済動向の調査・分析や外国の中央銀行との連携・調整を行なう「国際局」のほか、金融市場や国内の経済動向の調査・分析を行なうのが「金融市場局」や「調査統計局」。それらの分析が決定会合に上がり、決定に至る。
決定された政策はどうなるのか──。例えば、世の中に出回るお金を増やすべく銀行の国債などを買い上げる額を増やす金融緩和の強化が決定された場合、「金融市場局」が金融機関に国債の買入れをオファーし、「業務局」がペーパーレス化されたコンピュータシステム上で国債の決済手続きを行なうのだ。また、「金融機構局」が金融機関の健全性をチェックし、金融システムの安定を図っている。
いくつもの部署が連携して、日銀は日本経済を安定させるために稼働しているのだ。
※週刊ポスト2013年2月1日号