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故・江副浩正氏 父の訃報に受話器投げ出し執務室で泣き崩れた

 身一つでリクルートを創業した江副浩正氏(享年76)は大阪・天王寺で育った。現在は閑静な住宅街だが当時江副一家が住んでいたのは木造モルタルの平屋。そこで江副氏は、教師だった父親から厳しい教育を施され、強烈な上昇意識が芽生えていった。
 
 そして、無一物から自らの知恵と行動力でのし上がっていった。
 
 江副氏がリクルートを創業した後、その父親は同社に足を運び、社員教育まで行なうことがあった。江副氏に長く仕えた元秘書は1981年、敬愛する父親を亡くした際の江副氏の姿を瞼に焼き付けている。
 
「執務室でお父様が亡くなったとの連絡を受けた際、受話器を投げだして江副さんは泣き崩れました。『父が亡くなった、亡くなった』と身も世もないような声をあげていたのを記憶しています。その葬儀は億単位のお金を費やした荘厳なもので、葬儀社の手配から会場選びに至るまで全て江副さんが陣頭指揮を執られていました」
 
 父親が亡くなったのは77歳。今年6月には、江副氏も当時の父と同じ年齢となるはずだった。同氏が生んだリクルートが今年度中にも株式再上場を果たそうとする最中の死だった。

※週刊ポスト2013年3月1日号

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