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被災地で朗読会行う紺野美沙子「“女優見た”と話のタネになれば」

 2011年3月11日に起きた東日本大震災から丸2年になるが、有名人たちも復興のサポートを続けている。そのひとりが女優の紺野美沙子(52才)。

 2月28日、宮城県・石巻市街を見下ろす高台で、紺野は頭を垂れ、手を合わせていた。当日は、市内で行われる「和の心を語るリレー塾」というイベントで朗読などを行うため、石巻を訪れていた。

「朗読のいいところは、人と人とが一つ屋根の下に集えることです。生きていると、つらいことや悲しいことや苦しいこともあるけど、一瞬でも、みんなと一緒に心うるおうひと時を過ごしてもらいたいと始めたものです」

 震災以来、ここ石巻など、数々の被災地を訪れては、宮沢賢治や新美南吉などの詩を朗読している。奇跡の一本松が有名になった陸前高田には、おじが暮らしている。紺野自身も幼い頃に夏休みなどを過ごした。

「2011年の夏に行って、びっくりしました。何もなくなっていて、そこで生まれ育ったかたがどんな思いだったのか…言葉にならないですよね」

 仮設住宅へもたびたび足を運んでいる。紺野の顔を見ると、被災者はみな同じことを口にするという。

「『このまま忘れ去られるのが怖い』『忘れないでね』って。私は時折来て、支援するしかできていないのですが、『関心を持ち続けましょう』と仲間を増やすお手伝いは、これからもできるかなと思っています」

 東京では3月1日、春一番が吹いたが、ここ東北は今も冷え込んでいる。

「『寒かったけど、行ってよかった』って感じてもらえればいいなと思っています。夕ご飯のときに『今日、女優さんを初めて見たよ』と話のたねにしてもらえれば(笑い)」

 そう話した数時間後、石巻中央公民館に、紺野の声が静かに響いていた。

「雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモ…」

 130人あまりの被災者が、じっと聞き入っている。その中には「今日は、紺野さん目当てで来たの」と嬉しそうに教えてくれた60代の女性もいた。紺野の思いはしっかりと、集まった人々に届いている。

※女性セブン2013年3月21日号

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