ビジネス

1年で最も為替変動する3月 最終営業日は3~4円動くことも

 株式やFX(外国為替証拠金取引)投資家にとって知っているとお得なのが「アノマリー情報」だ。アノマリーとは、論理的に説明できないものの、頻繁に繰り返される相場の法則のこと。投資資情報会社の社長などを歴任し、現在は「為替の学校」M2JFXアカデミア学長でもある吉田恒氏が為替相場に関する3月のアノマリーについて解説する。

 * * *
 為替相場は、昨年暮れ頃から一変しました。円安、株高は、安倍総理の金融緩和強化、「アベノミクス」を期待した「安倍相場」との見方が広がりました。その一方で、急ピッチな展開を受けて、「安倍バブル」破裂への警戒感も少なくないようです。

 実は、為替のアノマリーにも、春相場には「逆方向に動きやすい」、「潮目が変わりやすい」といった特徴があります。その意味では、アノマリーの観点からも、この春は「安倍バブル」破裂が試される重大局面になる可能性がありそうですね。

 そもそも、昨年はこの3月が大きな潮目の変化となりました。米ドル円も豪ドル円も、そしてユーロ円も、いずれも3月中下旬にかけて当面の円安のピークをつけたのです。つまり昨年の場合は、3月が円安から円高への重要な転換となったのです。

 基本的な傾向としては、このように為替の潮目の変化が起こるタイミングは、昨年の場合は例年より少し早めでした。むしろ為替のアノマリーとしては、3月末、4月初めに、なぜか不思議と風向きが変わりやすいということがあります。

 その意味では、昨年の場合は、例年より少し早いタイミングだったわけです。ただそれは円に限った話ではありませんでした。昨年3月が「変化のタイミング」になったのはユーロを巡る動きでもあったのです。

 欧州債務危機は、昨年1月にはそれまでイタリアを主役に展開した動きが一段落となったのですが、3月から新たにスペインを主役とする形で危機再燃となったのです。この結果、ユーロは対米ドルでも2月末に当面の高値を付けました。3月は、昨年の場合、ユーロ高からユーロ安への大きな転換点にもなったのでした。

 少し話題を変えてみましょう。3月の代表的な為替のアノマリーは、「相場がよく動く」ということです。米ドル円の3月の平均値幅は、12か月の中で最大です。つまり3月とは、「1年で最も米ドル円が動く月」なのです。

 そして、その象徴がかつては3月最終営業日でした。3月最終営業日の米ドル円値幅は、たった一日で3~4円に急拡大するということが例年続いたという実績もあったことから、「1年で最も米ドル円が大きく動く日」といった意味で「ビッグデー」と呼ばれたこともあったのです。

 ここ数年、そもそも米ドル円の値動きが乏しくなり、3月最終営業日の「ビッグデー」も空振りになることが続きました。それにしても、3月に米ドル円が大きく動き、そして「ビッグデー」になったのも、大背景としては、日本企業の期末要因の影響があったと考えられるため、基本的な背景が変わらない限り、引き続きこのアノマリーも要注意でしょう。

※マネーポスト2013年春号

関連記事

トピックス

盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
「『逃げも隠れもしない』と話しています」地元・伊東市で動揺広がる“学歴詐称疑惑” 田久保真紀市長は支援者に“謝罪行脚”か《問い合わせ200件超で市役所パンク》
NEWSポストセブン
モサドの次なる標的とは(右はモサド長官のダビデ・バルネア氏、左はネタニヤフ首相/共同通信社)
イスラエルの対イラン「ライジング・ライオン作戦」を成功させた“世界最強諜報機関”モサドのベールに包まれた業務 イラン防諜部隊のトップ以下20人を二重スパイにした実績も
週刊ポスト
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン