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「ショート」を「遊撃手」と訳したのは正岡子規ではなかった

 普段から慣れ親しんでいる野球の「用語」や「常識」だが、その由来や理由を知る人は少ないだろう。

 ファーストが一塁手、セカンドが二塁手なのは理解できる。だがショートはなぜ「遊撃手」なのか。

 アメリカではこのポジションは、「レフト方向への打球を手前の短い距離で止める」ことから「ショートストップ」と呼ばれる。

 これを日本語に訳す際、当初は明治時代の俳聖・正岡子規が直訳して「短遮」(たんしょ)としたが、その後、同時代の教育者・中馬庚(ちゅうまんかなえ)が、「遊撃手」と名付けたのが始まりとされる。

 この由来は、状況に応じて前進、後退、走者の牽制のためセカンドベースやサードベースへと忙しく動き回る様を見て、「(決まった任務に就かず、戦況の必要によって行動する)遊撃隊のようだ」と評したことから。

 ちなみに中馬は「ベースボール」を「野球」と訳した最初の人物として有名で、正岡とともに野球殿堂入りしている。

※週刊ポスト2013年4月19日号

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