国内

ネット選挙解禁で自民有利予測の安倍首相に「楽観的過ぎ」評

 ネット選挙解禁によって各党の獲得議席はどう変わるか。「自民に有利だ」と自信を深める安倍首相の目論見は、外れる可能性が少なからずある。選挙予測の第一人者であるジャーナリスト・野上忠興氏はこう予測する。

 * * *
 ネット選挙の影響について、自民党選対関係者は「向かい風の陣営がより不利になる」と分析する。欧米諸国の事例を見ても、確かにネガティブ・キャンペーンの“破壊力”は大きい。政策上の失敗や失言などマイナスの情報は瞬く間に拡散する。短い選挙期間中に挽回するのは難しい。

 近年の日本の国政選挙でも、匿名掲示板上などでは政権政党のだらしなさが批判の的となってきた。そうした盛り上がりに加え、ネット選挙の解禁で政党や候補者自身のHPやアカウントが常にウォッチされ、些細な言動から大炎上するリスクが高まる。安倍首相は70%近い内閣支持率を理由に、ネット解禁は「自民が有利」と考えているのだろう。だが、安倍周辺からは複数の不安の声があがる。

「参院選までにネット上で自民党や安倍政権が批判されそうな政策テーマがいくつもある。既にTPPの交渉参加について『安倍にはがっかり』『自民党は嘘つき』といった書き込みがどんどん増えている」

「政権発足から間もないのに支持率が高すぎるのが気がかりだ。地元選挙区では、最近の総理は休日のゴルフや高級料理の会食を重ね、増長しているとの指摘まである。風向きが変われば、こうした言動もネット上での炎上に繋がりかねない」

 順調に見える安倍政権は、実は多くの「炎上懸念案件」を抱える。例えば、政権発足以来右肩上がりだった「株価」は海外の景況次第で下落基調に転じかねない。有権者の一大関心事である「賃上げ」も、政府がいくら要請したところで企業はベアなどできない。ボーナス増となる企業も一握りである。

「選挙制度改革」もそうだ。昨年11月の党首討論で安倍氏は当時の野田首相に“国会議員自らが身を切る改革”を約束した。しかし、大幅な定数削減を含む抜本改革はどこへやら、区割り変更でお茶を濁そうとしている。加えて本人は回復をアピールするものの、「健康不安」についても周辺からは、“ストレスがかかる局面になったらどうなるか……”と懸念の声が聞こえる。

 有権者には衆院選で「自民を勝たせすぎた」という意識がある。その意識と複数のリスク要因、そしてネット選挙による向かい風の増幅効果を考えれば、安倍氏の「ネット選挙解禁で自民有利」という見立ては楽観的すぎる。

※SAPIO2013年5月号

トピックス

遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《ブログが主な収入源…》女優・遠野なぎこ、レギュラー番組“全滅”で悩んでいた「金銭苦」、1週間前に公表した「診断結果」「薬の処方」
NEWSポストセブン
京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”とは(左/YouTubeより、右/時事通信フォト)
《芸舞妓を自宅前までつきまとって動画を回して…》京都祇園で横行するYouTuberによる“ビジネス”「防犯ブザーを携帯する人も」複数の被害報告
NEWSポストセブン
由莉は愛子さまの自然体の笑顔を引き出していた(2021年11月、東京・千代田区/宮内庁提供)
愛子さま、愛犬「由莉」との別れ 7才から連れ添った“妹のような存在は登校困難時の良きサポート役、セラピー犬として小児病棟でも活動
女性セブン
インフルエンサーのアニー・ナイト(Instagramより)
海外の20代女性インフルエンサー「6時間で583人の男性と関係を持つ」企画で8600万円ゲット…ついに夢のマイホームを購入
NEWSポストセブン
ホストクラブや風俗店、飲食店のネオン看板がひしめく新宿歌舞伎町(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」のもとにやって来た相談者は「女風」のセラピスト》3か月でホストを諦めた男性に声を掛けた「紫色の靴を履いた男」
NEWSポストセブン
『帰れマンデー presents 全国大衆食堂グランプリ 豪華2時間SP』が月曜ではなく日曜に放送される(番組公式HPより)
番組表に異変?『帰れマンデー』『どうなの会』『バス旅』…曜日をまたいで“越境放送”が相次ぐ背景 
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト