ライフ

9~15才の女子ワクチン接種で将来の子宮頸がん70%以上予防

 4月1日、子宮頸がんワクチン接種が「定期予防接種」となり、小学校6年生から高校1年生まで無料で受けられるようになった。  子宮頸がんは日本で年間約1万7700人が罹患し、約2700人が命を落とす。将来的にリスクの高い病気を思春期の接種で防ぐワクチンの無料化は朗報のはずだが、戸惑いを隠せない母親も多い。というのも、同じ時期、「子宮頸がんワクチンに重篤な副作用がある」と報じられたからだ。

 中学2年生の娘がいる主婦(42才)が心配そうに漏らす。

「娘の将来を考えればワクチンを受けさせるべきですが、もし副作用が出たらと思うととても怖い。いったい、どうすればいいんでしょう」

 多くの母親の心を揺さぶるワクチン問題。副作用の実態は? それでも定期接種を受けるべきなのだろうか?

 子宮頸がんは頸部と呼ばれる子宮の入り口にできるがんのこと。幅広い年齢層で罹患するが、発生ピークは35才と若く、近年は20~30代の患者が急増している。自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科の今野良教授は、「子宮頸がんは、原因が解明されているがんです」と説明する。

「子宮頸がんはほぼ100%、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって生じます。HPVは性交渉によって感染するウイルスで、性体験のある女性の8割が感染します。このウイルスは感染しても自覚症状がなく、多くは体外に排出されますが、一部が5~10年という長い無症状期間を経て、前がん病変となり、がんにまで進行するのです」(今野教授)

 最大の特徴は他のがんと違い、予防と検診で封じ込められることだ。前述のように多くの女性が命を落とす一方、予防効果が高く、早期発見で完治できる。著名人でも大竹しのぶ(55才)、三原じゅん子(48才)、仁科亜季子(60才)ら、この病気を患いながら克服した女性も多い。

 予防する上で絶大なる効果をもたらすのがワクチンだ。

 HPV感染を防ぐワクチンは2006年にアメリカで承認され、すでに海外130か国以上で1億人以上が接種している。2009年10月に初承認された日本では、「サーバリックス」「ガーダシル」という2種類のワクチンが使用されており、いずれも半年の間に3回、接種する。

 4月1日から国が推奨する定期接種になったことを、今野教授は「大きな一歩」と高く評価する。

「自覚症状がない子宮頸がんは、不正出血などの症状が表れた段階でかなり進行しており、手術で治すには手遅れで助からないということも多い。なので、ワクチンで感染を予防することが重要です。とくに性交渉経験のない9~15才の女子にワクチンを接種すると、将来の子宮頸がんを70%以上予防できます。1日10人が亡くなる病気の犠牲者を、3人にまで減らせるのです」(今野教授)

※女性セブン2013年5月2日号

関連記事

トピックス

2人の間にはあるトラブルが起きていた
《浅田真央と村上佳菜子が断絶状態か》「ここまで色んな事があった」「人の悪口なんて絶対言わない」恒例の“誕生日ツーショット”が消えた日…インスタに残された意味深投稿
NEWSポストセブン
6月15日のオリックス対巨人戦で始球式に登板した福森さん(撮影/加藤慶)
「病状は9回2アウトで後がないけど、最後に勝てばいい…」希少がんと戦う甲子園スターを絶望の底から救った「大阪桐蔭からの学び」《オリックス・森がお立ち台で涙》
NEWSポストセブン
発見場所となったのはJR大宮駅から2.5キロほど離れた場所に位置するマンション
「短髪の歌舞伎役者みたいな爽やかなイケメンで、優しくて…」知人が証言した頭蓋骨殺人・齋藤純容疑者の“意外な素顔”と一家を襲った“悲劇”《さいたま市》
NEWSポストセブン
反日的言動の目立つ金民錫氏(時事通信フォト)
韓国政権ナンバー2・金民錫首相の“反日的言動”で日韓の未来志向に影 文在寅政権下には東京五輪ボイコットを提起 反日政策の先導役になる可能性も
週刊ポスト
6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン