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大人気キャラ『くまモン』元々はロゴマークのオマケだった

 ユニークなご当地キャラ、“ゆるキャラ”がブームだが、今や日本一の人気キャラといえば、熊本県のくまモン。その経済効果は293億円ともいわれる。こんなに愛されキャラなのに、実はくまモン、“オマケ”で誕生したのだった。

 話は2010年に遡る。当時は新大阪・鹿児島中央を1本で結ぶ九州新幹線の全線開業を翌年に控え、熊本県は県をアピールすべく『くまもとサプライズ』という作戦をとることになった。

 くまモンの生みの親としても知られる、放送作家の小山薫堂さんの話。

「地元の人が慣れすぎていて気づかない魅力を、県外の人の目線で見たときに、すごくびっくりするようなことを自分たちで発見し、自分たちで楽しもうというのが『くまもとサプライズ』のコンセプトです」

 そのロゴマークになるデザインを、小山さんが交流するデザイナーの水野学さんに依頼。NTTドコモのクレジットサービス「iD」などの広告を手がけた売れっ子デザイナーだ。その水野さんが「“オマケ”として、びっくりしているこういうキャラクターはどうでしょう」とロゴに添えてきたのが、くまモンだった。

「だから、最初からこのキャラクターでやっていこうと思っていたわけでなく、まったくの偶然の産物。『くまもとサプライズ』ということで、びっくりした表情のくまモンはおもしろいね、ということになり、県側に提案したのです」(小山さん)

 当時、県内では、九州新幹線全線開業に伴って、期待感と危機感とが交じり合っていたという。熊本県庁くまもとブランド推進課課長の成尾雅貴さんは、その時の気持ちをこう振り返る。

「東京に次ぐ、日本第2の都市・大阪と新幹線で3時間、しかも乗り継ぎなしでつながることへの期待感がある一方で、鹿児島が終着駅とあって、途中駅である熊本駅を観光客は素通りしていってしまうのではないかという焦りがあったのです」

 そんな中での提案だった。県としても、もともとキャンペーンのシンボルとしてキャラクターを用意する必要性は感じていただけに、即、正式採用。「せっかく小山薫堂さんにサプライズな提案をいただいたのだから、使わないのはもったいない」(成尾さん)とのことで、“オマケ”から“主役”に、一気に躍り出た。

「くまモンはイラストからすぐに“3次元化”されました。最初は細長い着ぐるみのくまモンでしたが、あれはちょっと…。本当に“着ぐるみ”でした。そして、それを見かねたくまモンが、どこからともなく現れたんです」

 どこからともなく? それはどういうことかと尋ねても、成尾さんは真顔で「くまモンはくまモンなんです」と言うばかり。

 どうやら、現在のくまモンは、着ぐるみなどではないということらしい…。

※女性セブン2013年5月2日号

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