今年のゴールデンウィークは国内旅行の人気が高い。なかでも、東京スカイツリーや、旧東京中央郵便局舎をリニューアルした「KITTE」に30周年を迎えた東京ディズニーリゾート、4月に4度目の改築を終えたばかりの新歌舞伎座など、見どころが増えた東京が注目を集めている。せっかくだから家族で旅行してみたいけれど、どうしたものかと動きづらさを感じている人たちに、ある裏技が口コミで広がっているという。
地方在住の30代男性は、これまでも、都内へ家族で遊びに行くための工夫を凝らしてきた。
「小学生と中学生あわせて3人も子どもがいるわが家の場合、お台場やスカイツリーへ行こうと普通にホテルに泊まったら、とんでもない金額になる。だから、節約のために最近は浅草にある外国人バックパッカー向けのホステルを利用していました。駐車場もあるので、自家用車で移動できるから交通費も節約できます」
その男性が最近耳にしたのは、東京都内のキャンプ場を、都内で遊ぶための宿泊拠点に選ぶという節約方法だ。彼が聞いてきたように、都内キャンプ場の利用者は増えているのか、ゴールデンウィークの利用状況を聞いてみた。
高速道路を新木場インターチェンジで降り、10分もせずにたどり着く江東区立若洲公園は、埋め立て地を利用した倉庫街のとなりにある。広大な公園のなかにキャンプ場があり、幹線道路からも遠いので、23区内とは思えないほど静かな場所だ。そのなかに、美しい芝におおわれたキャンプ場がある。
若洲公園管理事務所によると「予約は3ヶ月前に始まるのですが、ゴールデンウィークのぶんは何日もかからずにいっぱいになりました」という。
キャンプ場が混雑するのは5月ごろから。7月や8月になると暑すぎるとかえって利用率が下がり、秋になるとまた混雑するのだそうだ。
「東京都だけでなく、いろいろな地方からいらっしゃいます。英語のホームページをつくったり、英語版パンフレットを配布したりはしていないのですが、口コミで評判が広がっているのか、外国の方の利用もありますね。普通にホテルに泊まるよりもずっと安くすみますから、ここを拠点に東京観光を楽しむ方もいらっしゃるようですよ」(若洲公園管理事務所)
そして、若洲公園から東京ゲートブリッジで東京湾を横切り大田区側に着くと、もうひとつのキャンプ場、東京都城南島海浜公園がある。大田区城南島にある、都内で唯一、オートキャンプに対応している。羽田空港が近いため、離発着する航空機がよく見えるとマニアの間でも有名なビュースポットになっている。
「ゴールデンウィーク期間中のオートキャンプ場は、8割が宿泊利用です。キャンプ場利用者のデータ化はしていませんが、併設の他施設利用のデータなどをみると、北海道から九州まで広く来園されています」(城南島海浜公園管理事務所)
どちらのキャンプ場も1泊2日だと大人600円、中学生までは300円。宿泊数が増えると料金は割引される。
確かに安い宿泊所ともいえるが、あくまで場所はキャンプ場。
「屋根があるわけではないので、タープ(※日よけや雨よけの大きな布)はご自分で用意をお願いします。せっかく準備してきたのに、慌てて帰る方もいらっしゃるんですよ」(若洲公園キャンプ場管理事務所)。
「ライターや調味料、軍手や虫除けなど、小物の忘れ物がとても多いので気をつけてください。また、キャンプ場それぞれにルールがあります。必ず管理者への問い合わせや確認をしてから利用してください」(城南島海浜公園管理事務所)
アクシデントもアトラクションに変えて、失敗も楽しむ都内のキャンプ場宿泊も楽しそうだ。