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歯周病の人 成人病リスク4.5倍、妊婦の早産リスク7倍になる

 歯並びや噛み合わせの良し悪しが人の寿命に影響する──にわかには信じがたいが、これは歯科医療現場では半ば常識となっている事実なのだ。

 歯科医師や歯科衛生士、歯科技工士の学術団体である日本顎咬合学会の新刊『噛み合わせが人生を変える』(小学館101新書)では、歯科医療現場の最新報告と実例が数多く紹介されている。同書から、「歯と人生」の知られざる関係を公開する。

 成人の8割が罹患している歯周病は、歯を失い噛めなくなる主な原因だ。それだけではなく、全身の病気を悪化させる一因ということが近年わかってきた。

 中でも糖尿病と歯周病の密接な関係は、歯科医師の間では常識だ。歯周病を治療すると血糖値が正常になり、糖尿病が悪化すると歯周病も悪化する。歯周病の人の糖尿病リスクは2倍といわれている。

 また、歯周病は咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、膵臓がんなどの危険因子になりうるという研究が世界的に権威のある医学誌『ランセット』で報告されている。

 英国の長期にわたる研究では、歯周病に罹患していたり、過去に罹患していた人は、そうでない人より14%も発がんリスクが高まるとのデータが報告されている。

 米国歯周病学会などの研究では、重い歯周病の人は心臓病リスクが4.5倍となり、脳梗塞にもなりやすいという。

 さらに、歯周病に罹患している妊婦の早産のリスクは7倍という米国の研究もあり、口の健康が全身の健康に及ぼす影響は、これまでの常識を超えるほど大きいことがわかってきた。

※週刊ポスト2013年6月21日号

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