国内

安倍首相 民主党分裂で生まれる「前原新党」と連立の構想も

 自民勝利、民主衰退が確実視されるなか、失速気味の第三極。参院選後の政局はどう動くのか。ジャーナリスト・武冨薫氏が指摘する。

 * * *
 維新が連立相手として消えるなかで、かわって安倍政権のパートナーに浮上しているのが民主党の改憲派だ。
 
 民主党退潮は覆いがたく、参院選でも改選43議席を半減させる大敗に追い込まれる可能性が高い。左派の海江田万里・代表は、「代表にしがみつく気は毛頭ない。刀折れ矢尽きたと思った時は潔く代表を辞める」と負ければ辞任を宣言しており、党内では参院選後、海江田辞任→代表選の流れは既定路線と見られている。
 
 その代表選を機に、民主党内は左右が対立し、分裂含みの展開が予想される。キーマンは前原誠司・元外相だ。民主党の保守派中堅議員は、代表選をにらんだ駆け引きはすでに始まっていると語る。
 
「前原さんは代表選出馬を狙っている。もともと9条改正が持論の前原さんが96条改正に慎重な発言をしているのも党内の幅広い支持を得るためだ。まずは党執行部の人事権と金庫を握ったうえで、自治労や日教組系の左派を追い出し、民主党を保守政党へと衣替えさせることを志向している」
 
 しかし、現実には前原氏の代表就任は容易ではない。左派は代表選が左右激突になることを恐れ、人気のある細野豪志・幹事長を話し合いで代表に選出して保守派の動きを抑え込むつもりだ。
 
「そうなると前原さんに勝ち目はない。将来も出番はなくなるから、改憲派を率いて党を割り、維新やみんなとの野党再編に動くことになるだろう」(同前)
 
「前原新党」旗揚げである。その中核になるとみられているのが、「改憲4人組」と呼ばれる前出の渡辺周氏、長島昭久氏、笠浩史氏、鷲尾英一郎氏で、いずれも96条改正議連の役員を務めている。参院民主党には改憲に慎重な労組出身者が多いとはいえ、野田グループ、前原グループ、旧羽田グループなどの参院議員には改憲に前向きな保守派が約20人いる。
 
 前原新党がそうした勢力を吸収できれば、憲法改正の3分の2の勢力確保のキャスティングボートを握ることができる。たそがれの民主だが、これまで積み上げてきた勢力はすぐにはなくならない。“腐っても民主”というわけだ。

 安倍首相が待っているのはその民主党分裂だ。 前原氏は超党派の安保議連で以前から安倍首相とパイプがあり、5月の大型連休には、改憲4人組の1人、長島氏とともに自民党や維新との超党派議員団で英国を訪問した。官邸が狙いを定めたのは前原側近の4人組の中で96条議連の会長代理に就任した渡辺氏だった。
 
「渡辺氏は官邸で開かれている与野党の拉致問題対策協議会メンバーで、民主党内で一貫して外国人参政権に反対してきたことから、安倍総理もその姿勢を高く評価している。渡辺氏主導で民主、維新、みんなの96条研究会ができたのも官邸の後押しがあった」(安倍側近議員)という。
 
 安倍首相は早くから、“橋下がこけたら民主分裂で前原と組む”という二の矢を用意していたのである。

※SAPIO2013年7月号

関連記事

トピックス

カジュアルな服装の小室さん夫妻(2025年5月)
《親子スリーショットで話題》小室眞子さん“ゆったりすぎるコート”で貫いた「国民感情を配慮した極秘出産」、識者は「十分配慮のうえ臨まれていたのでは」
NEWSポストセブン
宮城野親方
《白鵬に若手親方から評価の声出るも…》「宮城野部屋の復活」が先送りされるウラに「相撲協会執行部が“第2の貴の乱”を恐れている」との指摘も
NEWSポストセブン
気持ちの変化が仕事への取り組み方にも影響していた小室圭さん
《小室圭さんの献身》出産した眞子さんのために「日本食を扱うネットスーパー」をフル活用「勤務先は福利厚生が充実」で万全フォロー
NEWSポストセブン
“極秘出産”していた眞子さんと佳子さま
《眞子さんがNYで極秘出産》佳子さまが「姉のセットアップ」「緑のブローチ」着用で示した“姉妹の絆” 出産した姉に思いを馳せて…
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
《日本中のヤクザが横浜に》稲川会・清田総裁の「会葬」に密着 六代目山口組・司忍組長、工藤會トップが参列 内堀会長が警察に伝えた「ひと言」
NEWSポストセブン
5月で就任から1年となる諸沢社長
《日報170件を毎日読んでコメントする》23歳ココイチFC社長が就任1年で起こした会社の変化「採用人数が3倍に」
NEWSポストセブン
石川県をご訪問された愛子さま(2025年、石川県金沢市。撮影/JMPA)
「女性皇族の夫と子の身分も皇族にすべき」読売新聞が異例の提言 7月の参院選に備え、一部の政治家と連携した“観測気球”との見方も
女性セブン
日本体操協会・新体操部門の強化本部長、村田由香里氏(時事通信フォト)
《新体操フェアリージャパン「ボイコット事件」》パワハラ問われた村田由香里・強化本部長の発言が「二転三転」した経過詳細 体操協会も調査についての説明の表現を変更
NEWSポストセブン
岐阜県を訪問された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年5月20日、撮影/JMPA)
《ご姉妹の“絆”》佳子さまがお召しになった「姉・眞子さんのセットアップ」、シックかつガーリーな装い
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《極秘出産が判明》小室眞子さんが夫・圭さんと“イタリア製チャイルドシート付ベビーカー”で思い描く「家族3人の新しい暮らし」
NEWSポストセブン
ホームランを放ち、観客席の一角に笑みを見せた大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平“母の顔にボカシ”騒動 第一子誕生で新たな局面…「真美子さんの教育方針を尊重して“口出し”はしない」絶妙な嫁姑関係
女性セブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《木漏れ日の親子スリーショット》小室眞子さん出産で圭さんが見せた“パパモード”と、“大容量マザーズバッグ”「夫婦で代わりばんこにベビーカーを押していた」
NEWSポストセブン