7月某日、関西国際空港を対岸に臨む遊歩道を2人の男性が目を光らせながら歩いている。視線の先には、リードを付けていない大型犬と、飼い主と思しき中年女性の姿があった。2人の男性は目配せして囁いた。
「リードなしの散歩は要注意やな」
2人は泉佐野市の「犬のフンGメン」。“現行犯”は見つけ次第注意し、従わない飼い主から“罰金”を徴収するのが仕事だ。
泉佐野市では2006年にフンの放置を禁じる条例を施行したが、改善の様子がなく、千代松大耕・市長が昨年6月の市議会で飼い主に課税する「飼い犬税」の導入検討を表明した。
犬をペットとして購入すると、30日以内に自治体に登録を行ない、年1回の狂犬病注射が義務づけられるが、その際に税金を徴収して、清掃などの費用に充てるものである。それと並行して、昨年9月から市内各所でフンの回収を行なってきた。しかし、それでも放置件数は月あたり1000件以上をキープし続け、減る兆しはなかった。
今年2月には「イエローカード」制度を導入。放置されたフンの横に『放置は条例違反です!』と書かれた黄色のカード板を置いて、同じ場所に約1か月放置されていることが確認されればフンを回収する。犬は同じ場所にフンや小便をする習性があるため、その場所を何度も訪れる飼い主に自覚を促すのが狙いだ。そして今回、新たに採用されたのが、「Gメン」による罰金徴収制度である。
「7月10日から、大阪府警OB2人を『環境巡視員』として採用し、巡回パトロールを始め、注意に従わない飼い主には過料1000円を収めてもらうようにしています」(市環境衛生課)
赤いベストを着た環境巡視員は、週5日勤務で朝夕に2人1組で巡回。飼い主に啓蒙ビラを配るほか、フンの放置が現認されれば、“一発レッドカード”となる。
※週刊ポスト2013年8月9日号