古来、「涙は女の武器」といわれてきた。が、それは主として恋愛においていわれてきたことだ。しかし、女性の社会進出が進んだいま、職場でも「女の涙」が武器となりつつあるという。もし、部下に泣かれたらあなたはどうしますか?
「私は、みんなの前ですぐ泣く人に怒りを感じます。私はママから『みんなの前で泣くもんじゃないのよ!』といわれています。だから、学校では泣かないようにしています。でも私の友達で、すぐに泣く子がいます。泣けば何でも許されると思っているところが許せないです」
人気番組『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)の7月17日放送で、10歳の女の子からのこんな投稿が採り上げられた。小学校の段階で、すでに女子の間では“人前で泣く女”問題が浮上しているようなのだ。
司会の夏目三久に「女性に泣かれたら、可愛いと思いますか?」と問われて、有吉は「やだね。コッチが泣きてえわ」と否定したが、マツコは「男の人って“泣く女”が好きだから。踏ん張って泣かない女は好きじゃないのよ」と、男と女の現実を力説。終いには有吉も「“鉄の女”と“泣き虫”だったら、泣き虫の方がモテるもんね」といい、テロップでは大きく「鉄の女<泣く女」と表示された。
この「泣く女が得をする」という内容に対し、同感だと叫んだのは、意外にも会社に勤める男たちだった。
「女性の部下に泣かれたという話を同僚から聞いたときは、『だから女は嫌だ』と思っていました。でも実際泣かれてみると、嫌というより頼られている、守ってやらなきゃという感情が沸々と湧いてきましたね」
と話すのは自動車部品メーカーで管理職を務める40代男性だ。
「5歳下で営業に入った女の子が、上昇志向が強くて、後輩社員に対して『やる気がない』と説教するようになった。見かねて『新人に説教するのは上の仕事』『お前は営業のことだけ考えろ』とアドバイスしたら、ポロッと涙を流して『気をつけます』と。反省している様子だけど気の強さもにじみ出ていて、グッときました(笑い)」(同前)
経済アナリストの森永卓郎氏は、自身の過去の経験をこう語る。
「会社員時代に、部下の女性社員が『ボーナスの査定が同僚の男性社員よりも低いのはおかしい』と泣きだして困ったことがあります。査定は覆らなかったんですが、彼女の不満を1日がかりで聞くことになった。こうなると次のボーナスでは配慮が必要になりますよね。こういった、泣く女性社員は『女優型社員』と呼んでいいのではないでしょうか。泣くことは女性の最大の武器ですよ!」
森永氏のいう女優型社員とは、要求を通したり、問題を解決したりする際に、効果的に涙を使う女性社員という意味。この能力は社内だけでなく、社外でも発揮できるから、女性にとっては出世のための最大の武器になるというのだ。
「目をうるうるさせたり、ちょっと涙ぐんだりして、男性社員では許してもらえないようなトラブルを解決したり、受注をとってきたりする女性社員もいました。だから、泣くのも能力の一つで、否定するものではないし、そのおかげで出世しても不思議ではない。そこそこ出世しようと思えば、女性は涙を利用したほうが絶対に得です」(同前)
※週刊ポスト2013年8月9日号