国内

LINEコミュニティー 逃げ場のない地方へ行くほど閉塞感増す

 広島県呉市で起きた、16才の少女らによる死体遺棄事件。きっかけとなったのは、LINE(無料で通話やメールが楽しめるコミュニケーションアプリ)での売り言葉に買い言葉といった類のやりとりだった。しかし、これが主犯格のA子に殺意を起こし、もとは親友だった被害者の黒瀬恵利華さん(享年16)への集団暴行へと至らしめた。

 A子の中学時代の同級生が言う。

「LINEでつながっている友達は100人以上はいる。直接会ったことのないヤツでも、友達の友達だったりするから、同じグループに入って、LINEでやり取りしている。それで実際に一緒に遊びに行くこともあるし、皆、仲間でしょ」

 それは、私たちがイメージする「友達」や「仲間」とはまるで異次元のものだ。少年犯罪に詳しいノンフィクションライターの藤井誠二さんはこう指摘する。

「LINEやネットを通じたコミュニケーションは、仲間内で同じメッセージを共有するため“ムカつく”という感情が増幅されてしまいがちです。常にオンライン(即座にやり取りできる状態)でいなければならず、すぐに返事を返さなければ、“気持ちがわかりあえないヤツ”となってしまう。そういった些細なことが、友達関係の命取りになって、仲間外れにされたり、いじめの標的になるわけです。

 それは逃げ場のない地方に行くほど顕著な傾向になり、限られた小さなコミュニティーの中で閉塞感が増すようになって、一度芽生えた“ムカつく”感情をガス抜きすることさえ難しくなってしまう。ましてや無職や無就学の若者たちにとって、LINE上の人間関係を失っては、居場所がなくなることになりかねません。

 だからこそ、誰かが何かしようと呼びかけた時に、誰も止められず、逆に集団心理が働いて、今回のように殺人に至ってしまう最悪のケースも出てきてしまうのでしょう」

 こうした、外からは見えない閉ざされたネットワークに、私たちが救いの手を差しのべる方法はあるのだろうか。教育評論家の尾木直樹さんはこう語る。

「彼らは思春期のまっただなかにあって、考え方も極めて幼稚。それゆえ社会的なモラルや常識から外れた行動に走ってしまった。加害少女たちもある意味でいえば社会的な弱者で、そうした実態を把握しなければ、このような事件を防ぐことはできません」

※女性セブン2013年8月15日号

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