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中国 北京など大都市で子供を1人育てる費用4000万円の試算

 中国では北京など大都市圏で大学卒業まで、子どもを1人育てるのに必要な額は最低でも276万元(約4400万円)かかり、また、退職した後の夫婦2人の生活費も1000万元(約1億6000万円、1元=16円)が必要とのことが分かった。中国共産党機関紙「人民日報」が中国財経大学などの試算として伝えた。

 中国の都市部はただでさえ、環境汚染が激しく住みにくいのだが、さらに子どものために膨大な養育費や教育費、老後の資金が必要なわけで、「道理で中国では腐敗が蔓延しているはずだ」と妙に納得させられる。

 まず、子どもにかかるものとして、北京では出産までの費用は1万5000元が必要で、その後、2歳までのミルクなどの食事代や服などで2年間で5万元、さらに半年から水泳教室に通わせたり、保育園や幼稚園に通わせると軽く10万元。小学校から大学までの教育費が約100万元などで最低で276万元になる。

 北京では夫婦2人の平均年収は12万元(約192万円)ほどだから、子どもの養育費を捻出するには相当の苦労が必要だ。

 かりに、幼稚園や小学校なども公立でなく、「貴族幼稚園」「貴族学校」と呼ばれる特別な学校や塾に通わせる場合、それだけでも総額で500万元以上になるという。

 一方、引退後の夫婦の生活費だが、今現在で年間で5万元かかるとすると、インフレ率が3%なら、洋服や食事などの値上げ分も含めれば、20年後の年間の生活費は13万元ほどだが、中国の場合、医療などの社会保険が整備されていないため、膨大な医療費がかかる。さらに、老人ホームに入れば、それだけに一括で最低でも200万元は必要だ。毎年、夫婦で旅行するとなれば、1000万元などすぐに足りなくなる。

 中国では医療のほか、年金制度もほとんど未整備だけに、一般庶民では老後の資金が足りなくなるのは必至。

 中国は共産党の一党独裁体制で政治的な自由もなく、経済的にも貧富の格差が激しい。さらに、老後の生活まで保障されないとくると、本当に住みにくい国であることがよく分かる。

 中国の政府系シンクタンク、中国社会科学院の調査では、1990年代半ば以降、海外に逃亡した公務員や国有企業幹部は1万6000人から1万8000人の間で、横領した国有資産は8000億元(約12兆8000億円)に上るというが、中国を逃げ出した腐敗幹部の気持ちも分からないではない。

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