国際情報

9位だったはずの胡錦濤の党内序列が習近平に次ぐ2位に躍進

 チベット問題が深刻さを増している。すでに120人もの抗議の焼身自殺が起きており、国際的な批判も高い。チベットで深刻な事態が起きている可能性が高いなか、習近平氏が窮地に追い込まれている。ジャーナリストの相馬勝氏がリポートする。

 * * *
 習近平の窮地をうかがわせる情報が漏れてきた。

 今年3月の全人代ですべての公職を辞任し、引退したはずの胡錦濤・前主席の党内序列が習近平に次ぐ2位に“躍進”したというのである。同時に温家宝・前首相も李克強・首相に次ぐナンバー4に浮上。これは7月22日に四川省で行なわれた享年80の大物学者、周開達・中国工程院院士の葬儀での席次から発覚したものだ。

 この葬儀の2日前、貴州省で行なわれた国際フォーラムでも同省トップの趙克志・党委書記が党指導部への謝辞を述べた際、習近平のあとに胡錦濤の名を挙げており、胡錦濤の復活は間違いない。

 念のため確認すると、5月2日に行なわれた元党政治局員・倪志福の葬儀では、胡錦濤は習近平ら現役幹部、さらに江沢民に次ぐ序列9位だった。これは政治的異変が起きていると見ていい。

 習近平の窮地には後見人である江沢民も焦っているようだ。7月3日、上海でキッシンジャー元米国務長官と会食した際、習近平について、「非常に能力があり、知恵がある国家の指導者だ」と絶賛したと伝えられている。

 通常、引退した元幹部が外国要人と会見しても、その動静は公にしないというのが中国共産党の暗黙の了解だ。江沢民の発言は敢えて習近平の失敗をフォローする不自然な物言いといえる。

 田代秀敏・ビジネスブレークスルー大教授は「昨年11月の党大会で、胡錦濤ら共青団(中国共産主義青年団)閥は完敗したが、すでに息を吹き返しつつある」と分析する。

※SAPIO2013年10月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
浅香光代さんと内縁の夫・世志凡太氏
《訃報》コメディアン・世志凡太さん逝去、音楽プロデューサーとして「フィンガー5」を世に送り出し…直近で明かしていた現在の生活「周囲は“浅香光代さんの夫”と認識しています」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン
温泉モデルとして混浴温泉を推しているしずかちゃん(左はイメージ/Getty Images)
「自然の一部になれる」温泉モデル・しずかちゃんが“混浴温泉”を残すべく活動を続ける理由「最初はカップルや夫婦で行くことをオススメします」
NEWSポストセブン
宮城県栗原市でクマと戦い生き残った秋田犬「テツ」(左の写真はサンプルです)
《熊と戦った秋田犬の壮絶な闘い》「愛犬が背中からダラダラと流血…」飼い主が語る緊迫の瞬間「扉を開けるとクマが1秒でこちらに飛びかかってきた」
NEWSポストセブン
全米の注目を集めたドジャース・山本由伸と、愛犬のカルロス(左/時事通信フォト、右/Instagramより)
《ハイブラ好きとのギャップ》山本由伸の母・由美さん思いな素顔…愛犬・カルロスを「シェルターで一緒に購入」 大阪時代は2人で庶民派焼肉へ…「イライラしている姿を見たことがない “純粋”な人柄とは
NEWSポストセブン
真美子さんの帰国予定は(時事通信フォト)
《年末か来春か…大谷翔平の帰国タイミング予測》真美子さんを日本で待つ「大切な存在」、WBCで久々の帰省の可能性も 
NEWSポストセブン
シェントーン寺院を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
《ラオスご訪問で“お似合い”と絶賛の声》「すてきで何回もみちゃう」愛子さま、メンズライクなパンツスーツから一転 “定番色”ピンクの民族衣装をお召しに
NEWSポストセブン