国際情報

中国の河川汚染「汚水遊泳後遺症」の診断まで出るほど深刻化

 環境問題はすぐに解決、とはいかないだけに対応・対策が難しい。中国に詳しいジャーナリスト・富坂聰氏がレポートする。

 * * *
 環境保護局長に泳いでもらいたい!

 河川の汚染が深刻化する中国で、1人のネットユーザーの投じた一石が社会にムーブメントを巻き起こした。

 9月7日の午前、浙江省で金華市副市長、蘭溪市党委員会書記、そして金華市など周辺の環境保護局の正副局長約15人がそろって蘭江(河)に飛び込むというパフォーマンスが行われたのだ。

 環境保護に責任を負うトップらが顔をそろえて河に入ったのは、今年の年初(旧正月)間もなく冒頭の書き込みが話題を呼んだからだった。河川の汚染の深刻さに怒りを感じていた人々は次々とこの書き込みに呼応、ついに運動は、官僚自らこんなイベントを開催させるまでに広がっていったのである。

 舞台となった浙江省は5月にも問題が起きたばかり。温州市蒼南県で、入水自殺をはかった14歳の少女を現地の警察官である張光聰(51)が助けたのだが、救出過程で河の水を飲んだ警官が少女よりも危険な状態に陥ってしまったのだった。医師によれば、「消化器系から呼吸器系にいたる問題で一時は危篤状態に陥った」といい、診断は「汚水遊泳後遺症」と発表された。このときもさすがに市民が怒り、「環境保護総局長をそのゴミ河に投げ込め!」と書き込みがネットにあふれたのだった。

 こうした人々の怒りを背景に〝河で泳ぐ〟パフォーマンスがなされたのだが、その効果はあまり上がったとは言い難いようだ。というのも、蘭江が同地区が徹底して水質改善に取り組んだ〝モデル河川〟だったからだ。たちまちネットには、「地元にはあれほど多くの汚染された河があるのに、きれいな一本を選んで泳ぐことに意味があるのか?」、「局長よ、別の河で泳ぐ勇気はあるのか?」という書き込みであふれることとなった。

 事実、汚水遊泳後遺症という聞いたこともない病名を点けられた警官が飛び込んだ温州市では、このニュースが伝えられた直後、メディアが市内の河川の状況について「市内では、すでに680本がこの警官が泳いだのと同じ程度の〝ゴミ河〟だ」と報じている。

関連キーワード

関連記事

トピックス

『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《TOKIO・国分太一が無期限活動休止》「演者とスタッフは“独特の距離感”だった」関係者が明かす『鉄腕DASH』現場の“特殊な事情”
NEWSポストセブン
”アナウンサーらしくないアナウンサー“と評判
「笑顔でピッタリ腕を絡ませて…」元NMB48アイドルアナ・瀧山あかねと「BreakingDown」エース・細川一颯の“腕組み同棲愛”《直撃に「まさしくタイプです(笑)」》
NEWSポストセブン
『ザ!鉄腕!DASH!!』降板が決まったTOKIOの国分太一(右/番組の公式サイトより)
《スタッフに写真おねだりか》TOKIO・国分太一は「コンプライアンス上の問題行為が複数あった」…日本テレビに問い合わせた結果
NEWSポストセブン
TOKIOの国分太一
《日テレで緊急会見の意味は》TOKIO国分太一がコンプラ違反で活動休止へ 「番組降板」「副社長自らスキャンダル」の衝撃
NEWSポストセブン
悠仁さまの大学進学で複雑な心境の紀子さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、今年秋の園遊会に“最速デビュー”の可能性 紀子さまの「露出を増やしたい」との思いも影響か
女性セブン
グラビアのオファーも多いと言われる中川安奈アナ(本人のインスタグラムより)
《SNSで“インナーちらり笑”》元NHK中川安奈アナが森香澄の強力ライバルに あざとキャラと確かなアナウンス技術で「ポテンシャルは森香澄以上」との指摘
週刊ポスト
不倫が報じられた錦織圭、妻の観月あこ(Instagramより)
《錦織圭・モデル女性と不倫疑惑報道》反対を押し切って結婚した妻・観月あことの“最近の関係” 錦織は「産んでくれたお母さんに優しく接することを心がけましょう」発言も
NEWSポストセブン
お疲れのご様子の雅子さま(2025年、沖縄県那覇市。撮影/JMPA) 
雅子さまにささやかれる体調不安、沖縄訪問時にもお疲れの様子 愛子さまが“異変”を察知し、とっさに助け舟を出される場面も
女性セブン
不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《美女モデルと不倫》妻・観月あこに「ブラックカード」を渡していた錦織圭が見せた“倹約不倫デート”「3000円のユニクロスウェットを着て駅前チェーン喫茶店で逢瀬」
NEWSポストセブン
永野芽郁のマネージャーが電撃退社していた
《永野芽郁に新展開》二人三脚の“イケメンマネージャー”が不倫疑惑騒動のなかで退所していた…ショックの永野は「海外でリフレッシュ」も“犯人探し”に着手
NEWSポストセブン
“親友”との断絶が報じられた浅田真央(2019年)
《村上佳菜子と“断絶”報道》「親友といえど“損切り”した」と関係者…浅田真央がアイスショー『BEYOND』にかけた“熱い思い”と“過酷な舞台裏”
NEWSポストセブン
不倫が報じられた錦織圭、妻の元モデル・観月あこ(時事通信フォト/Instagramより)
《結婚写真を残しながら》錦織圭の不倫報道、猛反対された元モデル妻「観月あこ」との“苦難の6年交際”
NEWSポストセブン