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アベノミクス「第3の矢」成長に繋がるものないと大前研一氏

「異次元の金融緩和」「機動的な財政出動」「民間投資を喚起する成長戦略」というアベノミクスの「3本の矢」はことごとく失敗する可能性が高い、と大前研一氏は指摘する。ここでは「民間投資を喚起する成長戦略」について大前氏が解説する。

 * * *
 第3の矢の「民間投資を喚起する成長戦略」に至っては、1つも成長につながるものはないと言っても過言ではない。たとえば、安倍首相自身がしきりに強調する「医薬品のネット販売」は、それで市場が大幅に拡大して医薬品が2倍売れるようになるわけではない。単にドラッグストアの店舗とネット上のバーチャル店舗が既存の限られたパイを奪い合うだけである。

「大都市圏での建物の容積率の緩和」も理解できない。

 容積率や建蔽率の緩和は、以前から私が最も効果的な景気刺激策として提唱してきたことだが、いま出てきているアイデアは「大都市の国家戦略特区」で高速道路の上の空中権を両サイドに譲渡し、そのエリアの建物の容積率を増大させるというものだ。

 それにより高層建築を供給しやすくして、外国企業の入居スペースやビジネスマンの住居を整備し、働きやすい環境を整えるという触れ込みである。しかし、本気で規制緩和するつもりがあるなら、そんな面倒な条件をつけず容積率を全面的に緩和すればよい。政府の本気度は推して知るべしだろう。

 結局、安倍首相の“賞味期限”は、7月21日の参院選で切れたと私は見ている。これから先は残念ながら、3本の矢がことごとく的を外れ、日本が失速する兆候が日増しに強まっていくだろう。

※SAPIO2013年10月号

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