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宮本慎也の守備 立浪・片岡に暴投できぬPL時代の緊張が原点

 プロ野球選手となって19年、ヤクルト一筋で遊撃手、三塁手としてゴールデングラブ賞を10回受賞した宮本慎也が今季限りで引退する。その輝かしい受賞歴が示すように、宮本は「守備」に対しては並々ならぬこだわりを持つ“求道者”である。

 宮本は飛びついて打球を捕るような「ファインプレー」を、良しとしない。

「とてもグラブが届きそうにない打球を横っ飛びで掴んだり、走りながら捕ってジャンピングスローなんていうのはイヤなんです。そういうプレーをすると、ピッチャーが心配するじゃないですか。僕はピッチャーをハラハラさせたくない。(中略)どんな難しい打球でも、涼しい顔で軽く処理してアウトにしたいんです」

「打者が打ってからスタートを切っていては遅い。僕は投手がボールを投げた瞬間に、そのコースと球種で打球が飛んで来やすい方向を想定し、動き出している。だからアクロバティックなプレーにはならない」(『アサヒ芸能エンタメ』2002年6月)

 宮本は名門・PL学園で守備を磨いた。1学年上には片岡篤史や立浪和義など、甲子園春夏連覇の最強世代がおり、そこで受けたシートノックや、「先輩相手に暴投できない」という緊張感が、彼の守備を上達させたといわれている。

 宮本が守備の際に重要視するのは「薬指」だという。セの中堅選手が解説する。

「ボールをリリースするとき、大体の人は人差し指と中指ばかり注目する。でも実は、それだけでは安定しない。薬指でボールを固定して投げるからこそ、正確な方向に投げられるというのが宮本さんの理論です。こんなことをいう人は、プロ野球界広しといえど、宮本さん以外にはいません」

※週刊ポスト2013年10月18日号

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