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2013.10.15 07:00  週刊ポスト

自殺幇助合法のスイス 自国で安楽死できぬ外国人に機会提供

 オランダでは、2001年4月、世界で初めて安楽死法が成立し、翌年4月に施行された。オランダの他、国によって事情は違うが、ベルギーやスイス、アメリカの4州の法律で安楽死は認められている。

 いうまでもないが、日本では安楽死は認められていない。とはいっても、日本人が安楽死を選ぶ道がないわけではない。

「自殺幇助」が合法であるスイス──。1998年、チューリヒに設立された団体「ディグニタス」は、安楽死の機会を、自国の法律で禁じられている外国人に対して提供している。

 過去10年間で1000人以上の外国人の安楽死を手助けし、州警察の集計では、2011年には計144人(うち、外国人141人)に対して処置を行なった。その多くはドイツ人で、不治の病の末期患者だという。同団体の活動によって、スイスは世界中から「安楽死旅行(デス・ツーリズム)」の患者が集まる土地になっている。

 日本国内では近年、安楽死とは異なる「尊厳死」が徐々に広まっている。日本尊厳死協会副理事長で、長尾クリニック院長の長尾和宏氏が解説する。

「人為的に薬物で死期を早めることはなく、終末期に人工呼吸や胃ろう、人工透析などの延命治療をせず、自然な経過に任せるというのが尊厳死です。自然死、平穏死とも呼ばれます。

 たとえば、末期のがんであれば、過剰な抗がん剤治療を続けて最後の最後まで痛みに苦しむのではなく、緩和ケアを受けながら自然に死を迎えるというものです。私は勤務医時代に病院で500人以上、かかりつけ医として自宅で700人以上を看取ってきましたが、後者のほうが患者の最期の苦しみは穏やかで、家族の満足度も高いと感じてきました」

 法的に禁止されている安楽死とは違い、尊厳死は通常の医療行為の範疇と考えられている。日本の医療現場でも本人や家族、医師の判断で尊厳死は行なわれているのが現実だ。簡単にいってしまえば、9割が病院で死ぬ時代に、“家の畳の上で死にたい”と、自宅で看取られることを希望する1割の人の多くは、尊厳死を選択したということになる。

 日本尊厳死協会の会員が1990年の1万2000人から、現在では12万5000人に増えていることからも、認知度が高まっていることがわかるだろう。

※週刊ポスト2013年10月25日号

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