日本人の主食といえばお米。日本料理界の巨匠・野崎洋光さんはこう話す。
「なぜ炊飯器は火を使わないのに米が炊けるか知っていますか? 米は水と一緒に20分間、95℃以上の熱を加えるとごはんになるんです。簡単なことなのに、知っている人はほとんどいません」
野崎さんは福島県の農家出身。子供のころは自宅の蔵に3年分の米が蓄えられていたという。今ほど物流が発達していない時代、凶作の年が続けば命にかかわる。新しい米は非常に貴重で、収穫期と正月しか食べられなかった。
「日本料理の膳では茶碗が左。日本では伝統的に左が上位ですから、持ちやすいだけでなく『ごはんが偉い』ということも表しているんです。
3食食べて飽きないのはごはんだけでしょ。簡単に炊けて、やわらかくてもかたくても食べられる。しかも茶碗1杯がたった30円程度。こんなに優秀な食材はほかにありませんよ。ごはんの炊き方を知っていれば生きていける。料理の腕を磨くのはその次でいいんです」
※女性セブン2013年11月14日号