自信はあったけど、これでだめなら本当に終わりだなと思っていました。そうしたら勝つんですよ、グラスワンダーが。この馬に賭けた俺の人生、これで行けるって思わせてくれた。
ところが翌年、グラスワンダーは怪我に悩まされます。復帰後も勝てない競馬が続き、「やっぱりダメなのか」と思い始めたところでの有馬記念でした。人気は4番。
このときは、悔しさと絶望にまみれながら一人で中山に行きました。勝つ自信なんてない。ただ、よく有馬に出てくれた、という気持ちだけです。昼過ぎに行ったのでゴール前には入れず、向こう正面、掲示板の下から見ました。
そしたら出てきたんですよ、グラスワンダーが。最後の直線、中山の坂で。もう喉が潰れるくらいグラスの名を叫びました。
そして、1着になった瞬間、文字通りその場で崩れ落ちて号泣しました。競馬をやっていて初めて泣いた。人目もはばからず泣き崩れましたね。
グラスワンダーが引退するころには売れ始め、人生が好転し始めました。陳腐な言い方かもしれませんが、追い詰められても諦めちゃだめだということを本当に教えられたんです。今でもグラスワンダーへの感謝は忘れていません。
◆カンニング竹山/1971年福岡県福岡市生まれ。1992年にお笑いコンビ「カンニング」を結成。バラエティで活躍する傍ら、競馬番組などにも出演。
※週刊ポスト2013年12月6日号