スポーツ

カンニング竹山「グラスワンダーが有馬勝った瞬間号泣した」

 逆転、挫折、復活……レースに凝縮される悲喜こもごものドラマは、人の一生にも例えられる。だから人は馬に熱狂する。芸人・カンニング竹山が1998年の有馬記念を振り返る。

 * * *
 競馬を始めたきっかけは先輩芸人からの誘いでした。最初は全く興味がなかった。でも競馬場に着くなりもう夢中になっていましたね。目の前をサラブレッドが凄いスピードで駆け抜けていく様や、あの地鳴りのような音、馬体の美しさに圧倒されて、なんだこれは!? とすっかりハマってしまって。
 
 初めて好きになった馬はフジノマッケンオー。あまり競馬を知らないうちに直感で好きになった馬ですが、かなり入れあげてしまった。冷静に予想することができなくなって、馬券の買い方も明らかにおかしくなったんです。
 
 その後、だんだん競馬がわかっていくうちに、好きな馬は作ってはいけないと思うようになりました。馬のファンになってしまうと、馬券が偏ってしまうということに思い至ったんです。
 
 しかし数年後、そんな考えを一変させる出会いをします。それが1997年、グラスワンダーでした。中山の新馬戦でたまたま知ったんですが、実際に走りを見て本当にびっくりした。僕が今まで見てきた馬と、明らかにバネが違う。それから気になって、レースも何度か見るうちに、好きで好きでしょうがなくなっていました。
 
 その頃の僕は30歳を手前にして、ちょうど一番辛い時期でした。借金もあり仕事もうまくいかない。そんなときに出会った将来有望な馬に自分の人生を重ね合わせるようになるのは時間の問題でしたよ。勝手にグラスワンダーに自分の人生を賭けるようになっていたんです。「この馬が次勝てなかったら漫才辞めよう」と。でも、勝ってくれるわけですよ。そうやって毎レース毎レース賭けていました。切羽詰まった人生だったんです。
 
 その年の朝日杯では、家にあった家電もすべて換金し、全財産を投入します。14インチのテレビ、再生専用のビデオデッキ、大きなラジカセ。質屋に持って行って1万円ちょっとになったかな。それとバイトの給料6万と、口座に少しだけ残っていたお金。全部で10万くらいを朝日杯にぶちこんだんですよ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン